ハリル監督就任で期待できるJへの波及
大きな期待と注目を集めながら、2連勝で初陣を飾ったハリル・ジャパン。サッカー日本代表のバヒド・ハリルホジッチ新監督(62)は、その発言や選手の起用法などで独自性を存分に発揮した。「私は道を示せたと思う」と語った通り、今後は強さと速さを求めるスタイルが日本代表強化の芯であると感じさせた一方で、ハリルホジッチ監督就任は、Jリーグへの波及効果も期待できる。
3月13日に来日した指揮官にとっては、就任1戦目のチュニジア戦(同27日)までの準備期間は短かったが、その中でも国内リーグを積極的に視察。結果的に自らの目の前で好プレーを見せたGK権田(FC東京)とFW川又、永井(ともに名古屋)はチュニジア戦で先発出場を果たした。
同戦で勝負を決めたのは途中出場のFW岡崎(マインツ)、FW本田(ACミラン)といった“常連組”だったが、試合後に指揮官は「彼ら(岡崎、本田ら)のクオリティーは既に知っているから」と、若手を積極起用した理由を説明。
続くウズベキスタン戦(同31日)後も「(これからの)各合宿でより良い選手を選んでいきたい。国内、海外に関わらず、日本のすべての選手を見たいと思っているし、チャンスを与えたい」と、さらに選手を発掘する意図を示している。
国内リーグで結果を出し、日本代表に入る-。シンプルかつ当たり前の言葉だが、選手起用だけでなく、合宿には参加しなかったが多くのバックアップメンバーを発表したこともあり、指揮官の「日本代表は、すべての選手に開かれている」という言葉は、これまで以上に選手たちに響きやすくなっているのではないか。
3、4日のJ1では、代表でも活躍したFW宇佐美(G大阪)、MF柴崎(鹿島)だけでなく、代表入りを狙う選手たちも多く結果を出した。
特に宇佐美、柴崎らと同じ“プラチナ世代”と呼ばれる22歳の選手が躍動した。FW杉本(川崎)、FW小川(神戸)がそろって得点。将来を嘱望されていた世代が、国内リーグで放つ存在感は増している。もちろん、2得点を挙げたFW大久保(川崎)ら経験豊富な選手たちも負けてはいないが。
徹底的な競争原理を植え付けた上で「日本代表はこうやって強くならないといけない。こうすれば向上していくと思う」と語るハリルホジッチ監督。Jリーグから新たな代表戦士が続々と現れることを期待したい。
(デイリースポーツ・松落大樹)