ロッテ・田中の1軍デビューは通過点!
ロッテのドラフト2位・田中英祐投手(22)=京大=が、1軍デビューに向け順調に結果を重ねている。2軍戦で2度目の登板となった7日のイースタン・西武戦(ロッテ浦和)で、7回6安打無失点と好投。伊東監督は「(1軍に)上がってくるまで、そう長く時間はかからないでしょう」と話した。
先発ローテの谷間となる4月30日の西武戦(QVCマリン)で、田中の1軍昇格が、いよいよ現実味を帯びてきた。前回登板の2軍戦でも7回無失点と好投。唐川、藤岡が2軍降格という台所事情もあるが、田中は文句なしの成績をもって、着実にデビューに向け前進している。指揮官は「話題性だけじゃなく、実力をしっかり示している」と、うなずいた。
キャンプから1軍スタートし、開幕メンバー振り分けを決めるギリギリの3月18日まで、1軍帯同した田中。これには本人も「ここまで来られるとは、正直、思っていなかった」と話していた。当初はキャンプさえ2軍スタートが有力視されていたことを考えると、開幕から約1カ月で1軍デビューが見えてきた田中は、周囲の予想を覆したと言っていい。
何度も書いてきたが、田中の1軍キャンプスタートの狙いのひとつは、1軍のレベルを体感させることにあった。新人合同自主トレ期間中に「課題が分からないことが課題」と話していた田中。キャンプはもちろん、練習試合、オープン戦と対外試合のマウンドを3度踏み、1軍の“舞台”を経験できたことによって、田中はプロとしての「課題」を見つけ、その修正に、いち早くかつ具体的に取り組むことができた。
田中が2軍戦で公式戦初登板した3月29日のDeNA戦を視察したある関係者は、マウンドの右腕について「打者を見下ろすように投げていた」と話していた。キャンプ、オープン戦と約1カ月半の濃密な1軍生活によって、おそらくファームスタートでは得られなかったであろう財産を、田中は自分の中でしっかりと生かすことができているのではないか。
田中について首脳陣が口をそろえるのは、「飲み込みが早い」ということ。伊東監督は「(開幕)2軍行きを伝えたときも、自分が今、何をしないといけないかを、しっかり理解していた。自分自身をよく知っているタイプの選手」と話す。そんな田中の性格も手伝って、早期の昇格を視野にとらえることができているのだと思う。
もちろん、秀才右腕にとって、1軍デビューは通過点に過ぎない。「1日でも長く1軍で投げたい」。これから切り開くプロ野球人生の、記念すべきデビュー戦。そのステージに、田中は間もなく立とうとしている。(デイリースポーツ・福岡香奈)