広島・石井コーチの揺るがぬ信念
広島は22試合を終えて8勝14敗の単独最下位に低迷している。優勝候補に挙がっていた開幕前には、想像もつかなかった事態に陥ってしまった。
今思えば、その象徴的な試合が開幕戦の3月27日・ヤクルト戦(マツダスタジアム)だったように思う。
先発の前田は7回2失点にまとめ、打線は0-2の八回に2点を返して同点に追いついた。2-2の九回だ。1死一、二塁で菊池が左前打を放った。二塁走者の木村昇は本塁に突っ込んだが憤死した。左翼を守るミレッジの本塁返球は、タイミング的に余裕のアウトだった。
試合は延長十一回に中崎が勝ち越しを許して敗れた。今季22試合目までの延長戦6試合で全敗。その悪い流れは、開幕戦にできてしまった。
今季から三塁コーチを務める石井守備走塁コーチは開幕戦の試合後「オレが(木村昇を三塁で)止めていれば1死満塁で次は丸か…止めた方が正解だよな。オレのせいで試合を落としたようなものだ。今日は眠れないよ」と、サヨナラ勝ちを逃した責任を一身に背負っていた。
ただ、ミレッジは試合開始前のシートノックに不参加で、首脳陣の間でも「ミレッジの肩がおかしいようだ」という共通認識があった。実際にミレッジは4月1日に「右肩甲下筋の肉離れ1度」のため、出場選手登録を抹消されている。
結果的には通常以上に浅く守っていたミレッジが懸命の返球を見せ“暴走”となった。石井コーチは同日深夜に更新した個人ブログで「チームとファンの皆さんに迷惑をかけて本当に申し訳ない」と謝罪した。
それでも石井コーチは「止めるだけなら誰でもできる。いかに勇気を持って行かせられるかだ」と、三塁コーチとして、今後の信念を口にしている。
チームは最下位に沈む。緒方監督も采配や選手起用が白星に結びつかず、苦悩の表情を浮かべる場面が出てきた。若鯉が多い1軍メンバーと同様に、首脳陣もまだ経験が浅いのが現実だ。
先発はリーグトップクラスの陣容を誇るだけに、巻き返しの余地は十分にある。緒方監督はじめ首脳陣が一体となり、若鯉とともに成長していくことを願っている。(デイリースポーツ・山本鋼平)
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