中畑DeNAの強さの秘密とは…
DeNAが強い。5月4日からのヤクルト3連戦で3連勝。直前の中日戦と合わせれば今季2度目の5連勝という勢いで、2位・巨人とは1・5ゲーム差(5月6日時点)の首位に立っている。34試合を終えて20勝14敗、貯金6だ。
まだまだ常勝チームとは言い難いようにも思える。4月にも一時は首位に立ちながら、泥沼の7連敗でズルズルと4位まで後退。しかし、その後に5連勝して巻き返したあたりは、逆に不安定なチームにも見える。
しかし昨年までとは明らかに違うと指摘するのは、元阪神コーチでデイリースポーツ野球評論家の岡義朗氏だ。中畑清監督とは同じ昭和28年度生まれで「プロ野球28会」のメンバー。若いころから親交も深く、中畑野球を熟知している。
「去年までなら連敗を止めた後もズルズルと黒星が先行するようなチームだった。今年はしっかりと持ち直す。特に違いが見えるのは、連勝が止まった後。7連敗の後、5連勝で止まっても、そのまま連敗はしなかった。勢いだけで勝っているわけではないことが分かる」
では、強さの秘密はどこにあるのか。実力の突出した選手が何人もいるわけではない。それでも底知れぬ潜在能力を感じさせるチームだ。実力以上の何かが今のチームを支えている。岡氏は「要因の一つは若さ」だという。
「投手では抑えの山崎康。野手では高卒2年目の外野手・関根。この2人が象徴的だ。普通の考え方をする監督であれば、新人に抑えを任せたり、高卒2年目の外野手をレギュラーで使うことはあまりしない。これは中畑監督の勇気、そして選手の資質を見抜く眼力からくるもの。例えば山崎の負けん気の強さは最初から見抜いていた。若い力が台頭すればチームは活性化されるもの。それが今の勢いにつながっている」
もちろん主力の活躍も見逃せない。4番の筒香がリーグトップタイの7本塁打を放つなど活躍。梶谷も高打率を維持している。
「彼らは中畑監督が就任以来、成長を願い、厳しく接してきた選手たち。真のレギュラーに育てようと、時には2軍にも行かせて鍛え上げてきた選手が花開き始めたと言える。筒香とは私もたまに話すことがあるが、以前に比べるとかなり大人になった。いい意味でピリピリ感も出てきている」
中畑監督の就任2年目からデイリースポーツのDeNA担当を務める鈴木創太記者は、指揮官の変化を感じている。
「担当記者と会話するときの明るい雰囲気はずっと変わらない。勝ったときも冗談っぽく浮かれたような発言はするけど、実際は浮かれていないところが去年までとは違う。あと、選手の適正を判断したりする目は周りからも信頼されている。実は山崎康の抑え抜てきも、当初は周囲に反対意見もあった。それでも自分の考えを通して山崎は期待に応えた」
岡氏は進藤ヘッドコーチとの信頼関係にも注目する。
「監督はできるだけヘッドの意見を受け入れようとしている。聞く耳をしっかりと持っている。作戦面でもしっかりとコミュニケーションが取れているようだ」
長いシーズン、このまま順調にいくことは難しい。「そのあたりは監督もヘッドも計算に入れている。故障者が出るかもしれないし、シーズンを通して働いた経験のない若手はバテるかもしれない。それも見越して今から対策を考え始めている」(岡氏)と、そのときのための準備は進められている。
8日からは巨人との3連戦。「借金を背負っているつもりで戦う」と話す中畑監督には、名将の風格すら漂い始めた。
(デイリースポーツ・岩田卓士)
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