好投手に共通する「再現性」とは…
好投手と言われる選手に共通しているものとは-。それは「再現性」だという。
「再現性」とは、ある事象が繰り返し行われること。野球の投手で例えるなら振りかぶり、大きく足を上げて最後にリリースする一連の動作などだ。阪神の鎌田一生2軍トレーナーは、こう説明する。
「同じ投球フォームで50、100球といかに投げられるか。疲労とかで崩れていくのはしょうがないとしても、安定している選手はコンスタントに結果も出していってると思うよ」
5月21日・阪神-巨人戦(甲子園)。阪神のドラフト1位・横山雄哉投手(新日鉄住金鹿島)がプロ初登板初先発し、7回1失点と好投。最速151キロを誇る自慢の真っすぐは、G打線にも通用した。
年明けから2軍キャンプ、そしてこの登板に至るまで横山を見続けてきた鎌田トレーナーは「横山は再現性に優れてるんだよね」と証言する。
年明けから左胸鎖筋の炎症で出遅れ、2軍で調整を続けていた横山。ウエートなどの動きを観察していると、他の投手とはひと味違っていた。
「スクワットとか、サイドレンジをとてもきれいな姿勢でやってたよ。それもずっとね」。単純な動作でも正確に、同じ姿勢で一定の回数をやることができる。「『なるほど』と思ったよ。ピッチングにも生きているんじゃないかな」と大器の片りんを感じている。
さらに、吸収率の高さという点でも他の投手より優れているという。「トレーナーが言ったことをしっかり理解して、それをすぐに実践できる。自分の体のしくみや特徴もよく知ってるんじゃないかな」。理解度が高ければ、成長するスピードも加速する。
島本も「再現性」に優れている投手の一人だ。「体重移動がスムーズでうまいから、単純に質量を増やせば球速も上がっていくと思うよ」。より正確に繰り返す-。これは、飛躍のためのヒントなのかもしれない。
横山の1軍戦登板はまだ2試合。2試合目の登板となった5月30日・西武戦(西武ド)では、三回途中4失点でプロ初黒星を喫した。
「まだ1軍では通用しないと思います。まだやりたいことはたくさんあります」
慢心はない。自らの力を信じ、飛躍を遂げる。(デイリースポーツ・中野雄太)