夏ドラマの“聞きどころ”
テレビ各局で7月期の連続ドラマが始まった。ストーリーやキャストと併せて注目されるのが、主題歌やテーマソングなどの“音の演出”。アーティスト本人や制作スタッフに、ドラマに花を添える歌に込めた思いを聞いた。
人気枠であるフジテレビの『月9』とTBSの『日9』(日曜劇場)は共に再登板組。福士蒼汰が主演のフジテレビ「恋仲」では、家入レオが「君がくれた夏」を歌う。2013年のドラマ「海の上の診療所」での「太陽の女神」に続く、2度目の“月9唱”。家入は歌手の立場から、月9を「いろんな方に音楽を聴いていただけるチャンス」と捉える。
「出演者の方たちが同世代で、内容もひと夏の思い出だったり、共感できる部分がたくさんあったので、自分の思いがドラマに寄り添えばと思って作りました。私は“一生に1度しかない夏”は誰にでもあると思ってて、子供から大人になる1つの季節だと思うんです」
2年前に担当した「海の-」にも、福士は脇役で出演。「福士さんはすごい勢いで頑張ってらっしゃるので、主演されるドラマで再びコラボできるのはありがたいです。同世代なので、負けてられないと刺激を受けます」と急成長の若手俳優との巡り合わせを、発奮材料にしている。
TBSの日曜午後9時枠ドラマ「ナポレオンの村」は、平井堅の「君の鼓動は君にしか鳴らせない」が主題歌。平井は「JIN-仁-」での「いとしき日々よ」以来、4年ぶりに同枠を担当した。
「最近の僕の曲は、ダークな世界観の楽曲が続いたんですが、今回のドラマはタイトルにナポレオンの名前が入って、不屈の精神、七転八起の展開が描かれるとても熱いドラマなので、熱い気持ちを自分の心の中からひっぱり出してこの曲を書きました」。平井はこのように書き下ろした新曲を解説。
30~40歳代の視聴者が懐かしく感じそうなのは、往年のアニメを実写化した日本テレビ「ど根性ガエル」(土曜、後9・00)のテーマソングだろう。♪ぴょこん、ぺたん、ぴったんこ-。主演・松山ケンイチ、ヒロイン・前田敦子、ピョン吉の声・満島ひかりら出演陣が、リレー方式で歌っている。
河野英裕プロデューサーは「あの歌でドラマの設定や世界を表現できる」と、古き良きアニメソングに期待。キャスト歌唱にした狙いを、「勢いを大事にしたかったからです。みんなで歌うことで、うまさより、楽しさ、高揚感が出てくるので」と明かす。
ストーリーと歌がもっとも“リンク”しているドラマには、深夜に食欲をそそられるフジテレビ「ラーメン大好き小泉さん」(土曜、後11・40)を挙げたい。ハロー!プロジェクトの研究生ユニット・こぶしファクトリーが歌うのは、その名もズバリ、「ラーメン大好き小泉さんの唄」。原曲はシャ乱Qがインディーズ時代に、「おばけのQ太郎」などの藤子不二雄アニメに登場する名脇役キャラをモチーフに制作した「ラーメン大好き小池さんの唄」で、ドラマ仕様に歌詞が一部変更された。
レコード会社関係者が「シャ乱Qがアマチュアのバンド大会で、グランプリを獲ったときの演奏曲なんですよ。デビュー後にはライブの定番曲になってました」と証言する、シャ乱Qの隠れた名曲。声帯摘出手術を受けて歌声を失ったボーカリスト・つんく♂の代わりに、プロデューサー・つんく♂が手掛けるこぶしファクトリーが歌い継ぐ形になった。
紅白歌手の面々もラインアップ。クリス・ハートは「あなたへ」が、テレビ朝日「最強のふたり~京都府警 特別捜査班~」(木曜、後8・00)で自身初のドラマ主題歌に。福山雅治「I am a HERO」は日本テレビ「花咲舞が黙ってない」(水曜、後10・00)、斉藤和義「傷口」は日本テレビ「婚活刑事」(木曜、後11・59)に、それぞれ起用された。
王道のラブストーリー、人気作続編、アニメ原作、異色の麺類-。バラエティーに富んだ夏ドラマは、“聞きどころ”も満載だ。(デイリースポーツ・丸尾匠)
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