たけし、西島秀俊 2人を結ぶ趣味とは
俳優・西島秀俊(44)が11月7日公開の主演映画「劇場版 MOZU」で敬愛するタレント・ビートたけし(68)と初共演を果たす。2016年公開予定のたけし主演映画「女が眠る時」にも出演と共演作が続く。西島が「恩師」と仰げば“世界のキタノ”も「気の合う相棒みたいなもの」と信頼を置く。世代の違う2人が距離を縮めた背景を探った。
今月6日に都内で行われた西島主演ドラマ「MOZU」の15話耐久ノンストップ上映会の舞台あいさつで、「劇場版 MOZU」の予告編を初公開。初共演となった西島とたけしが本物の火に囲まれながら芝居をする場面が映し出されると、西島は「北野さんは『CGではなく本物の火じゃないとダメなんだよ』と楽しそうだった。感動しました。(映画に)愛情がある方」と絶賛した。真剣に話すその姿からは、たけしへのリスペクトを垣間見ることができた。
西島といえば、青春時代からラジオ番組「ビートたけしのオールナイトニッポン」などを聴き、たけしに傾倒してきた。さらには、たけしが北野武監督名義で手掛けた映画「Dolls」(02年)に出演し、注目を浴びた。大ファンで仕事をともにこなしたとあれば、感謝や尊敬の念があふれるのも、うなずける。
一方、たけしが西島を「気の合う相棒」と呼ぶのはなぜなのだろうか。周囲に話を聞くと、2人は「数学」という共通趣味があるからだという。
1989年に横浜国立大学工学部に入学(後に中退)した“理系俳優”西島と明治大学工学部出身のたけしは、ともに理系出身。たけしは今でも空いた時間に問題を解くほど数学への造詣が深く、過去には数学の問題を解くフジテレビ系教養バラエティー「たけしのコマ大数学科」(06~13年)といった冠番組も持っていた。「数学」を知る2人は、映画「Dolls」で出会い、現場では、たけしから数学の話題を西島に持ちかけ、理系トークで盛り上がったという。
数学をきっかけに距離を縮めた2人。「劇場版 MOZU」の撮影を前に西島が「ビートたけしさんの参加は、全身の血が沸き立つ思い」と武者震いすれば、たけしも「西島君は、おいらのラジオ時代からの熱狂的ファンで、共通の趣味もある。気の合う相棒みたいなものだから、楽しい現場になりそうだね」と初共演に胸を弾ませていた。
期待を胸に行われた「劇場版‐」の撮影は4月下旬だった。作品は公安警察官・倉木(西島)らと日本事件史の闇と言われる存在「ダルマ」(ビートたけし)との死闘が描かれるシリーズ完結編。西島は北野武監督と接したことはあるが、俳優同士で対峙(たいじ)するのは初めて。予告編に登場した火のシーンなど3日間の撮影だったという西島は、「『ビートたけし』さんと会うのは初めて。シルエットで勝てないなと。すごい人だと思った」と感想をこぼしたそうだ。
映画「女が眠る時」の撮影も7月11日にクランクアップ。撮影を終えた西島は「今後の俳優人生の財産というか、非常に勉強になりました」と、こちらの共演も刺激になったようだ。
お互い好意を示す俳優同士が対峙するシーンは、2人の関係性を知っていればより楽しめるというもの。2作の公開と今後の共演が期待される。(デイリースポーツ・上野明彦)