【野球】オリ常勝球団へ生え抜き育成強化
オリックスが今オフから、選手育成部門強化に大きくかじを取ろうとしている。コンディショニング部門の人数を増やし、メンバーも入れ替える。
実は昨年から、編成部門ではコンディショニングの改革を計画してきた。生え抜きの選手を一流に育て補強に頼らず強いチームを作るという長期戦略を練っている。
球団関係者は「高卒は5年、大学・社会人は3年をめどに強化プログラムを組む。フィジカルで最高のパフォーマンスを出せるように、チームとして取り組む形を作りたい」と基礎体力からケガ防止など、トータルで体の強い選手を育てるためだ。
小谷野、中島、ブランコら大型選手を補強し、優勝候補といわれた今季。しかしふたを開けてみれば、新加入選手はもちろん、T-岡田、糸井、平野佳、比嘉ら中心となるべき選手も相次いで故障した。
先発オーダーや先発投手、抑えのブルペンすべてで戦力不足に苦しむ日々。逆に、この機会にチャンスをつかんで飛躍すべき安達や駿太、武田ら若手も、今ひとつ力を出し切れなかった。野手では20歳台の生え抜きの強化も課題のひとつだろう。
22日のドラフトでは、青学大のスラッガー・吉田正尚外野手(22)を1位で獲得。瀬戸山隆三球団本部長も「日本人の4番打者がほしい。その可能性を秘めている」と即戦力の和製大砲に期待を寄せる。
コーチングスタッフでは、星野投手コーチを育成投手コーチに、鈴木バッテリーコーチを育成バッテリーコーチに配置転換。若手の投手、捕手にしっかりと基礎を教え込む。
昨年は惜しみなく補強費を出した宮内オーナーも、今月の会見では「欠けているところを補い、長い目で見て自力でチームを作る。相反することを両方やりたい」と、これまで以上に育成に力を入れる考えを明かした。
近年ではソフトバンクや日本ハムなど、育成に力を入れたチームが継続的に結果を残している。
ソフトバンクのように3軍を作るには、スタッフの数や対戦相手などさまざまなハードルもある。しかし組織の作り方次第で、育成にじっくりと時間と手間をかけることもできる。来季以降のオリックスに期待したい。(デイリースポーツ・中野裕美子)