【芸能】イベントも澤は“ナイスパス”
女子サッカー界のレジェンド、澤穂希選手が今季限りでの現役引退を発表した。ピッチでの躍動、仲間を激励する姿、表彰台の笑顔…新聞やテレビの報道では、さまざまな名シーンがプレイバックされているが、記者にとって印象深かった、芸能イベントに出演した際の“ナイスパス”を紹介したい。
芸能担当ながら澤選手を直接取材する機会に恵まれたのは、2014年7月、俳優・渡辺謙が出演したハリウッド版「GODZILLA」のジャパンプレミアだった。「最強キャラクター」のイメージに合わせて、澤選手と女子レスリング・吉田沙保里選手が、レッドカーペットに招かれた。
スポーツ新聞の記者でも芸能を担当していると、畑違いのアスリートを取材する機会はほとんどなく、イベントにゲスト出演したときに接する程度。番記者ではない芸能担当記者に、警戒心を抱いているなと感じさせるアスリートも少なくないが、澤&吉田コンビは“いちげんさん”の我々にも、気さくに接してくれた。
まずはキャストの謙さんが1人で登場。ハリウッド俳優といえど、芸能が主戦場の記者は過去に幾度となく顔を合わせているとあって、“おふざけ質問”も多少は許してもらえる間柄だ。このときも作品に関する本筋の話を聞いた後で、「ゴジラと吉田さんが戦ったら、どっちが勝つと思いますか?」と投げかけた。するとジェントルマンな謙さんには、「僕は怖くて言えないよ。失礼だし!!」と笑い飛ばされた。
その後、澤選手と吉田選手が並んでレッドカーペットを歩いてやって来た。ここでもまずは映画についての質疑応答をこなしてから、吉田選手に対して切り出した。「失礼を承知で伺いますが、ゴジラに勝てますか?」。すると吉田選手が返答する前に、澤選手が“速攻”を仕掛けて口火を切った。
澤「全然失礼じゃないです!!」
吉田「勝てないですよ!!でも体重が同じだったら、分からないかも。作戦をいろいろ考えて、スピードを生かし、最後はタックルで決めたいです」
澤「沙保里は死なないよ。大丈夫」
プライベートでも親交が深いという最強女子コンビが見せた、まるで漫才コンビのようなコミカルな掛け合い。芸能担当記者にとって最高においしい吉田選手のコメントを引き出せたのは、ノリのいい澤選手からの「失礼じゃないです」という“スルーパス”のおかげだった。短いやりとりだったが、澤選手のバラエティー能力の高さを見せてもらった気がした。
27日に行われる皇后杯全日本女子選手権の決勝戦で、現役選手としてのサッカー人生にピリオドを打つ。引退会見では今後について「未定。ちょっと体を休ませたい」と話していた澤選手。サッカー界に携わる仕事を続けていくことが予想されるが、タレント性も抜群とあって芸能界という新たなピッチでも、どんどん駆け回ってほしい。イベント会場でお待ちしております。
(デイリースポーツ・丸尾匠)
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