【芸能】テレビ弁護士はプロ中のプロ
弁護士を一躍タレントにしたのは、日本テレビ系「行列のできる法律相談所」だろう。大阪府知事と大阪市長を務めた橋下徹氏(46)を筆頭に北村晴男氏(59)、菊地幸夫氏(58)などが出演してきた。下手なタレントよりキャラがぶっ飛んでいるし、コメントもうまい。
先日、この菊地氏と同じ弁護士でTBS系「ひるおび!」のコメンテーター・八代英輝氏(51)、そして元フジテレビアナウンサーで退社後に司法試験に合格するという“離れ業”を演じた菊間千乃氏(43)のトークショーを拝聴する機会に恵まれた。3人は、テレビで見られない“プロの法律家”の実体験を披露し、弁護士という職業の“本質”をユーモアを交えて教えてくれた。
弁護士というよりも法律家にとって、一番重要なのは「言葉」だそうだ。菊地氏は「法律家にとって言葉は命です。正確に思いを伝えなければいけません」と強調し、ある例を挙げた。
「家で女房が『ティッシュを1枚取って』と言ってくると、僕は箱からティッシュを引き抜き、2枚重ねになった1枚をはがして渡します。ティッシュは2枚1組でしょう。厳密に1枚の意味を守るとこうなるんです。女房はあきれてソッポ向きますが、そのうち『ティッシュを2枚1組ください』というようになります」
そこで菊間氏から「嫌がられませんか?」と強烈な突っ込みが入り、菊地氏は「事務所ではやりません」と笑ってごまかしたが、この例は法律の本質を見事についている。テレビ慣れした菊地氏しかできない解説だと思った。
その言葉を武器に法廷で白黒をつけるのが裁判。「勝つ」ことが弁護士の仕事だ。その過程では怖い目にも遭うという。菊地氏は「国選弁護は人を選べないんです。ヤクザの方を担当すると『アイツら何をしゃべってんだか教えてくれ』と言ってくるんです。僕が『言えません』というと『(駅の)ホームのはじを歩かない方がいいよ』って言ってきたりね」と実話を披露しれくれた。テレビドラマのような“脅迫”をこの方々は実際に経験しているのだ。
最後に菊間氏は裁判が終わった後の依頼人と弁護士の姿をまるで映画のように描写してくれた。
「刑事事件をやった時、被告人の方は(霞ヶ関の)検察庁か警察署から釈放されるんです。家族の方が迎えにいけない時には、弁護士が迎えに行くんですが、ガラス越しに話していたのがやっとシャバの世界に出て来た。思わず握手しちゃうんですね。霞ヶ関駅の階段の上でお別れするんですが、別れがたくて…背中が見えなくなるまで見送りしたくなります」
3人はテレビへの出演経験が豊富だけに「分かりやすく」弁護士を解説してくれた。これだけでも弁護士が守るべきものは「正義・正確・信頼・責任」と十分分かる。言葉の持つ重い意味を深く理解しているからこそ、簡単に易しく…。ああ見えても、あの人たちはやはりプロ中のプロなんだわ!機会がありましたら、ぜひ傍聴席から裁判を見てください。
(デイリースポーツ・木村浩治)
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