【レース】スクリーンH産駒躍進に…

 競馬界の2015年はスクリーンヒーロー産駒の躍進が目立つ一年だった。モーリスがG1での3連勝を含む年間6戦無敗で年度代表馬の座に輝いただけでなく、ゴールドアクターが年末のグランプリ・有馬記念で初のG1タイトル奪取に成功した。それ以外にも毎日杯を制したミュゼエイリアンやシンザン記念を制したグァンチャーレとタレントぞろい。

 父サンデーサイレンス系が猛威をふるう現代の日本競馬で、父にグラスワンダーを持つこの馬が、これほどまでに活躍馬を輩出することは誰もが予想していなかっただろう。そして、この快進撃を誰よりも喜んでいる人物がいる。

 「“種牡馬として、いい子を出さなければならない”というのは競走馬としての宿命。それだけに、この馬が種馬として成功してくれたことは素直にうれしいですね」。目を細めるのは、現役時代にスクリーンヒーローを管理していた鹿戸雄一調教師だ。

 4歳時の3月に、それまで管理していた矢野進調教師の定年退職により鹿戸雄一厩舎に移籍したスクリーンヒーローは、格上挑戦で挑んだ08年アルゼンチン共和国杯で重賞初制覇を決めると、続くジャパンCでは、M・デムーロ騎手の完璧なエスコートに導かれて優勝。その後も09年天皇賞・秋でカンパニーの2着に好走するなど、開業当初の厩舎を支えた看板馬だった。指揮官にとっても、厩舎の初重賞と初G1タイトルをもたらしてくれた、思い出深い一頭のはずだ。

 「スクリーンヒーローは立派な馬体を持っていて、根性もありました。子どももそのような点を受け継いでいるのでしょう。素直な気性だったので、産駒も古馬になってから成績を上げてくると思っていましたよ。これほど走るとは思いませんでしたが」。うれしそうに分析するトレーナーから時折、笑みがこぼれる。

 活躍の背景に血統の裏付けがあることも口にする。「やはりグラスワンダーの存在は大きいと思いますよ。ダートやマイルを走る馬がいれば、グランプリを勝つ馬もいる。産駒がいろいろなジャンルで活躍しているのは、父系と牝系のいいところが出ている、ということなのでしょう」。スクリーンヒーローの父グラスワンダーは、1600メートルから2500メートルまで、幅広い距離でG1を4勝したスターホースだった。そこに祖母に重賞5勝の女傑ダイナアクトレスを持つ血統構成が、今の日本競馬に見事にマッチした。

 種牡馬入り当初は30万円(出生後は50万円)だった種付け料は、今年から500万円にアップ。種付け相手のレベルも上がり、産駒の勢いは、まだまだ続いていくだろう。「携わった馬が父となり、その子どもが活躍する。こういう別の視点で競馬を見るのも楽しみですね」。鹿戸雄一師はその活躍を暖かく見守っている。(デイリースポーツ・刀根善郎)

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