楽天のドラフト１位・オコエ瑠偉外野手（１８）＝関東第一＝が、初のキャンプで奮闘している。初日のフリー打撃で緊張も手伝ってポップフライを連発したが、首脳陣の“緊急メス”により、その後、着実に改善。オコエ育成プランも、順調に滑り出しているようだ。

　キャンプ２日目。前日の内容をかんがみ、池山打撃コーチによるオコエへのマンツーマン指導が、約２時間繰り広げられた。「（梨田）監督とも話して、こうなったら徹底的に１からやろうということになった。早い方がいいからね」と同コーチ。木製バットの芯の位置から始まり、タイミングの取り方やスイングの軌道、内角球の裁き方…。オコエだけ他のメニューを飛ばし、ひたすら体に染み込ませた。

　金属製バットから木製バットへの対応。高卒ルーキーなら、これは誰しもが通る道だ。池山コーチ自身も高卒でプロ入りし「オレだって最初、（木製）バットのどこに芯があるかなんて、知らなかったんだから」と振り返る。後に“ブンブン丸”として成長を遂げた。昨季トリプルスリーに輝いたヤクルト・山田の新人時代の指導も経験しているが、「哲人も最初はそうだったよ」と話した。

　「哲人はスイングする力はあったが、まだ体ができていなかった。オコエはがっちりした体がある。つかんだら早いはず」と池山コーチ。特にオコエの場合、「足と守備は１軍レベル」（梨田監督）と評価を得ている。足と肩は一般的にスランプがないと言われているものだけに、揺るぎない打撃力を身につけることが、何より飛躍へのカギとなる。

　キャンプ３日目以降、目に見えて強い打球を放つオコエ。「だいぶ良くなったね。吸収が速いから楽しみ」と池山コーチが話せば、梨田監督も「初日とは別人のよう。コーチのアドバイスをすぐ実践に移せるのは彼のいいところ」と。早急な“大手術”は、ひとまず功を奏したとみていい。

　７日はいよいよ初実戦となる紅白戦を迎える。高卒新人野手の開幕１軍への道は決してたやすいものではないが、どこまで食らいつくことができるか。今キャンプが、オコエにとってプロ人生の礎となるのであれば、それが最大の収穫だ。（デイリースポーツ・福岡香奈）