【芸能】著名人が薬物地獄にはまる理由
覚せい剤取締法違反で元プロ野球選手の清原和博容疑者(48)が逮捕され、2カ月が経過した。2014年には歌手のASKA(58)、09年には歌手で女優の酒井法子(46)、歌手で俳優の押尾学(37)が逮捕されており、著名人の薬物事件は後を絶たない。
野球界においては紛れもないスターだった清原被告の逮捕は、各界に衝撃を与えた。よしもとクリエイティブ・エージェンシーは芸人らを集め、違法薬物に関するセミナーを開催。警視庁の捜査員が講師を務めて話題となった。
そんな中、超有名タレントを多数抱える、ある芸能事務所の関係者は「うちも年に3回ぐらい、タレントを集めて研修をやってます。マスコミさんに公開するようなものじゃないので、してませんけど」と明かした。その関係者はさらに、著名人が薬物にはまる要因として「孤独だからじゃないでしょうか」と分析した。
巨大事務所ならばなおさらだが、すべてのタレントに定期的な仕事があるわけではない。売れないタレントはどうしても事務所内で肩身が狭くなる。タレントになる人間は一般人時代は周囲にちやほやされがちであり、その落差がより孤独感を増大させ、心の隙間を薬物で埋めてしまう…という例が、やはり少なくないというのだ。
その対処法として、関係者は「やっぱりあいさつが大事なんじゃないですかね」と話した。「例えば、タレントでも、会社に来た時に社員がちゃんと『おはようございます!』ってあいさつしたら、それだけで孤独を感じなくて済むと思うんですよ。小さくても、心のよりどころがそこにあれば、薬物に逃げる可能性も減るでしょうし…。『誰かが必ず見ててくれる』って思ってもらうのは、僕らの大事な仕事です」と言葉に力を込めた。
実際、その関係者の事務所に所属するタレントが、薬物で逮捕されたという話は聞いたことがない。要因はさまざまだろうが、周囲のホスピタリティが薬物の誘惑を阻んでいるという一面もあると思われる。
もちろん、違法薬物の所持や使用は犯罪であり、その禁を犯した者に擁護の余地がないことは言うまでもない。その上で、著名人がその“旬”を過ぎた時の落差は、一般人には計り知れない苦悩であることも、また確かだろう。
高校時代から日本中にその才能を知らしめ、プロでも1年目から球史に残る活躍を続けてきた清原被告。だが引退後は野球界ではなく芸能界での仕事が中心で、14年には妻でモデルの亜希(46)と離婚。2人の子どもも手放すことになった。
良くも悪くも、子どものころから常に多くの人に囲まれ続けただけに、次々と身の回りから人が離れていくことに、耐え難い孤独を感じていたことは想像に難くない。たとえその原因が自身の素行にあったとしても、だ。
デンマークの著名な哲学者、セーレン・キェルケゴールは著書で「絶望は死に至る病」と記している。清原被告もまた、徐々に募る絶望感の中で結果として「清原和博」という英雄を死に至らしめてしまった。その間、何のわだかまりもなく、心を開ける相手が、彼の周囲にはやはりいなかったのだろう。
もちろん、清原被告の人生が、これで終わったわけではない。著名人であるからこそ、自らの身を「反面教師」として、違法薬物の罪深さを世間に訴えることができる。
だからこそ、清原被告には保釈時、はっきりと顔を出して言葉を発してほしかった。本人がコメントした通り、警視庁の立地上、門の前で一礼といった行動ができなかったのは承知の上。それでも酒井法子は、別の場所で会見を開き、自身の口で謝罪した。それがすべてではないが、酒井が今でも芸能界で活動できている理由の一つだと感じる。
反省すべきところは真摯(しんし)に反省し、他人の言葉に耳を傾ける。そして自らを、ある程度さらけ出す。それが再び孤独という絶望に、そして薬物地獄に陥らないために、最低限必要な要件ではないだろうか。(デイリースポーツ・福島大輔)


