【芸能】「貞子VS伽椰子」誕生秘話
ともにハリウッドでリメークされ、ジャパニーズホラーの2大巨頭と言える「リング」と「呪怨」シリーズ。両作の怨霊同士が激突する映画「貞子VS伽椰子」が18日に公開される。配給会社の垣根を越えた最恐コラボ実現のきっかけとは?両シリーズのプロデューサーに話を聞くと、アメコミヒーローたちが集結する“あの作品”が大きな影響を与えていた。
プロジェクトが動き始めたのは、2014年の秋。昨年公開された「呪怨 ザ・ファイナル」を撮影し終えた後だった。入った者を死に追いやる呪いの家と、そこに住み着く伽椰子と俊雄の母子霊が中心となるホラー。
ユニバーサルの山口敏功プロデューサーは「『ファイナル』で一区切りつき、次の作品案として『アベンジャーズ』のようにジャンルの人気キャラを集めて『貞子と戦ったら面白いよね』という話になった」と振り返る。
同時期、12年と13年に映画「貞子3D」と続編を公開したKADOKAWAの今安玲子プロデューサーも、3D技術とともに新境地を開いた2作を終え、新たな企画を模索。案の1つとして、ホラーキャラを集めた“ホラーアベンジャーズ”を構想していたという。
「最初に『呪怨』の伽椰子と俊雄、後は『着信アリ』の美々子や『富江』。女性キャラばかりでわかりずらいなぁ…『青鬼』にもお願いする?くらいの冗談半分の話でした」と今安氏。ところがどっこい、同じような企画を考えていることが両社に伝わり、山口氏と今安氏が顔を合わせると一気に話が進んだ。
03年の「フレディVSジェイソン」などを念頭に怨霊同士の激闘をシュミレーションしたが、プロット作りは難航。1年半をかけた。「呪怨」が呪いの家と伽椰子なら、「リング」は呪いのビデオとそこに映し出される貞子。山口氏は「両シリーズの歴史を壊さないようにバランスをとりながらクロスさせなければいけない。落としどころが難しかった」と明かす。
昨夏にホラー畑の白石晃士監督(43)が脚本に加わり、最終形が完成。今作の「貞子」と「伽椰子」の呪いにかかったWヒロインたちが「呪いのビデオ」を「呪いの家」で再生することで2大怨霊をぶつけ合う、というストーリーができあがった。
目指したのは「お祭り映画」と山口氏。テレビからはい出てくる貞子と階段をはって下りてくる伽椰子、という両シリーズの名(?)場面を同時に再現し、その真ん中でヒロインたちが悲鳴を挙げるシーンは鳥肌もの。「貞子なら髪、伽椰子なら腕力。それぞれの長所、能力を生かした霊同士の戦いはどこかプロレス的でもある。監督とは『Jホラーの新しい歴史を作りましょう』と話してきた」と手応えを口にした。
恐怖を体感型にするため、本作はMX4D、4DXといった可動型シートのスクリーンでも公開される。300スクリーン以上で封切られ、うち50館が「4D」と邦画では歴代断トツ1位の数字。さらに特殊な音響を備えた「ドルビーアトモス」のスクリーンで邦画では3作目、Jホラーで初めて公開される。
2日の日本ハム対ヤクルト戦で貞子が投げ、伽椰子が打席に入った始球式の模様がBBCニュースやAP通信で放送されるなど海外でも注目度は高く、すでに韓国や台湾での配給が決定。山口氏が「両シリーズをリスペクトしながら、どう新しく見せるのか考えた」と語る本作の意欲的試みが、世界中をひんや~りさせるはずだ。
(デイリースポーツ古宮正崇)
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