【ライフ】異例のリーグ戦、関西学生バスケットボールの新たな試み
9月半ばを過ぎ、暑さが和らいできた。ただ、大学スポーツ界では気温に関係なく、各競技の秋季リーグで熱戦が繰り広げられている。そんな中、一風変わった試合を発見。興味本意で観戦してきた。
9月7日、大阪・枚方市総合スポーツセンター。行われていたのは、関西学生バスケットボールの男子1部リーグ戦だ。大学男子バスケは人気の種目だが、この日は水曜日。しかも体育館に3面のコートがつくられ、3試合が18時30分、同時に開始された。別会場(大阪体育大学体育館)でも2試合が2コートに分かれ同時刻に始まっている。
同リーグの男子1部は10校で編成。通例なら毎週土曜日と日曜日、1会場1コートで午前中から夕方まで順番に5試合が消化されている。
ところが今年は、この日と同様、平日夜に2会場5コートで5試合をほぼ同時刻に開始するという超異例の日程が、通常の土日開催以外に3日間も組まれている。
関西学生バスケットボール連盟に問い合わせたところ、理由は「試合が大幅に増えたため」なのだという。昨年までは10チーム総当たりで9試合を消化。その時点の順位から1~5位の上位リーグ、6~10位の下位リーグに別れ、さらに総当たり4試合を行い、最終順位を決定していた。
だが、今年は総当たり2回戦に制度が変更。1チームの試合数が13から18に増えた。理由は11月下旬に開催されるインカレにある。大学バスケ界最大の目標であるインカレへの、関西学生リーグからの出場枠は5。昨年までなら、下位リーグ入りした時点でインカレへの道は絶たれる。2部降格回避を争う下位リーグは、モチベーションの低下が著しかったのだという。リーグの活性化を目論んだ変更。ただし、日程が非常に苦しくなった。
関西学生リーグと同じく、10校による2回戦総当たり制の関東大学バスケットボールの男子1部では今年、9月3日(土)開幕から10月30日(日)閉幕まで、毎週土日の18日間、1会場1コートで5試合が行われる日程が組まれている。
しかし、関西学生リーグの場合、開幕が8月31日(水)の平日開催で、閉幕が10月23日(日)。例年通り、国体開催期間中の1週間は、リーグが中断される。通常より1週間程度、リーグの開催期間は延びたが、土日だけでは全日程の消化は無理だった。
開幕を8月中旬に前倒しする案も考えられるが、夏休み期間中の開催は難しいのだという。閉幕を11月上旬まで延ばす案は、インカレ出場に伴う準備等を考えると簡単ではないという。
平日の夜に5試合が同時刻に開始されることについては、審判の確保が主な理由だった。各審判の仕事の都合上、リーグ期間中の平日の午前中に試合を行うことは難しかった。
平日は5コートで試合が同時刻に開始されるため、試合進行に携わる学生連盟員の数、進行に必要な機器類のレンタル数が激増。選手側からは例年以上の疲労を訴える声が上がっているという。話を聞く限り、いいことがないように思える。
さて、ここで話を冒頭に戻し9月7日、枚方市総合スポーツセンターの試合を思い返す。実は、想像以上に盛り上がっていた。スポーツセンター側の厚意で会場には関西学生バスケットボールのポスターが貼られ、おそらく練習後なのだろう、小学生のバスケチームが客席に陣取っていた。メンバー外の選手やチーム関係者、ファンを含めると、観客席に200~300人程は座っていたと思う。関西学生連盟も各平日開催について「考えていた以上に、たくさんの方に来ていただいてありがたいです」と、感謝を口にした。
記者は平日夜の試合開催は、その競技の“格を上げる”ことにつながると考えている。大昔はプロ野球のナイターが国民的人気の獲得に一役買った。サッカーではJリーグが始まって以降、リーグ戦やカップ戦など平日夜の試合が増えた。同様にラグビーのトップリーグは、主に金曜夜の試合が増えてきている。バレーボールでは、人気の高いワールドカップの日本戦が平日夜に行われている。バスケットボールは今秋開幕するBリーグで、昨年までのNBLやbjよりも多く、平日夜の試合が予定されている。
全体の試合数をできる限り増やし、平日夜の試合開催を成立させてこそ、その競技の普及や人気は本物になるはずだ。学生スポーツをプロと同列に扱うことはできないが、競技人気の向上に役立つ、という点においては差がないだろう。関西学生バスケットボール連盟には、バスケ界を盛り上げるためにも頑張っていただきたい。限りなく無力に近い微力ながら、こっそりと応援しています。(デイリースポーツ・山本鋼平)