【野球】「敬礼」と「広島伝説」で引き継がれる広瀬のカープ魂
広島の広瀬純外野手が今季限りで現役を引退した。2013年にはプロ野球記録となる15打席連続出塁を達成。守りでも広い守備範囲と強肩で何度もピンチを救ってきた。1日に行われた引退試合ではチームメート、そして満員のファンから拍手喝采を浴びながら「僕の好きなカープ。これからもっと強くなっていきます」との言葉を残してユニホームを脱いだ。
37歳のベテランから若鯉へ引き継がれるものがある。歓喜のときに行う「敬礼ポーズ」と応援歌の一節「広島伝説」だ。
広瀬が「敬礼ポーズ」を始めたのは、13年に知り合ったハイパーレスキュー隊の影響から。14年に起きた広島土砂災害で、多くの消防隊員が懸命に救助を続ける姿に心を打たれた。引退試合の胴上げでは、そのポーズで宙を舞った。広瀬と同時にそれを始めたが丸が、思いを受け継いでいく。
鯉党の間では、広瀬の応援歌は「名曲」と言われている。そのファンファーレである「♪始まりの鐘が鳴る 広島伝説-」は、菊池が継承する。きっかけは菊池の兄だった。「キクのお兄さんから直接、『純さん応援歌を使わせてください』と言われた」。菊池が伸ばしているもみあげは、広瀬から影響を受けたもの。「使ってもらえれば、広瀬が使っていた曲だとファンの人に思い出してもらえるしね。お兄さんにありがとうと言いたい」。応援団の了承も得て使用することが決まった。
16年間の現役生活。通算977試合に出場し595安打、253打点、51本塁打、打率・273だった。伸び盛りの若手がチームを引っ張りつかみ取った25年ぶりの優勝。黄金時代到来の予感も漂う中で、来年からは地元・中国放送の野球解説者として新たな人生をスタートさせる。「カープ野球の魅力を、幅広い年代に伝えていきたい」。チームをグラウンドの外から支えていく。(デイリースポーツ・市尻達拡)