【芸能】小田和正 拓郎もうらやむ圧巻の“ツアー力”

 シンガーソングライター・小田和正(69)が10月30日、沖縄・宜野湾海浜公園屋外劇場で、半年に及んだ全国ツアー「君住む街へ」(24カ所48公演で37万人を動員)の最終公演を行った。同世代の吉田拓郎(70)が「若い時より元気で不思議だよ」とうらやんだ小田のツアーを、証言とともに振り返る。

 小田のコンサートでは“名物”となった光景。『できるだけ観客のそばに行きたい』という思いで客席をぬうように張り巡らされた“花道”を縦横無尽に走る。美しい歌声と誠実な思いが伝わるステージはファイナルでも圧巻だった。

 08年のドームツアーでは、東京ドーム公演のリハーサルで自転車で花道を走行中に転倒。足などを打撲し、痛み止めの注射を打ちながらツアーを続行した経緯もある。今ツアーでは、関係者が「前回のツアー(14年~15年)より走ってる感じ」と話すほどで、「ヒヤヒヤです」とけがをしないかと心配しながら疾走する小田を見つめていた。

 今も連絡を取り合う仲である拓郎は、10月27日に4カ所5公演の“首都圏ツアー”を終えたばかり。小田について「若い時より元気で不思議だよ」と驚くのも無理はない。半年間にわたりほぼ毎週開催された小田のツアーは、1公演あたり30曲超、3時間にもわたる濃密な内容なのだ。

 ツアー最終日。潮風が吹き抜ける海に面した会場は3500人で超満員。「せっかく沖縄に来たんだから」と黒い短パンで登場した小田は、この日朝、ホテルで足の小指をイスにぶつけ、血が出てしまったことを明かし、「年取っちまったんだな、やんなっちまうな」と苦笑い。「こんな年寄りを見るために大勢の方に集まっていただき、スミマセン」と照れくさそうにあいさつした。

 「言葉にできない」「愛を止めないで」など、オフコース時代の名曲の数々も当時のキーのまま。「『さよなら』を歌う時は相当気合いが入ります。相当(キーが)高いんでね。いつまで歌えるのやら」という言葉とは裏腹に、美しいハイトーンボイスを響かせた。

 小田のツアーは基本的に、風邪をひきやすい冬を避けて開催される。9月20日には69歳の誕生日を迎えた。体調管理には人一倍気を遣い、体幹トレーニングも欠かさない。喉を休めるため、ツアーの間にまとまったオフが必要なアーティストも多いが、小田はむしろ逆。「休むと声が出なくなるタイプ」(関係者)といい、毎週のように公演が続くことが、マイナスではないのだ。

 今ツアーでは、何度か、声が出にくくなる日もあり、リハーサルで声を出すのを控えたこともあったというが、関係者は「不思議と本番1時間前には、自然と声が出るようになった。アドレナリンなんでしょうかね(笑)不思議です」と明かす。

 2013年に来日したポール・マッカートニーの公演を見て、72歳(当時)という年齢だけでなく、とにかく明るく、歌を楽しむ姿にも刺激を受けたという。30日のファイナルでは、「またいつの日か、みんなでツアーに出られる日を心から待っています」とファンに“再会”を約束した小田。関係者によると、来年の予定はライブのゲスト出演などを除けば未定。ツアーは新しい楽曲を携えて行きたい、と常々口にしており、来年また、というわけにはいかないかもしれないが、次なる“再会”のステージが待ち遠しい。

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