【野球】阪神・藤浪を刺激する大阪桐蔭同級生のプロ入り オリ8位・沢田圭佑
高校時代のチームメートを語る藤浪の表情はいつも優しい。今年のドラフト前も、大阪桐蔭の同期、立大・沢田について聞かれると、笑顔でエールを送っていた。
「同じチームで一緒にできたらいいですけどね。プロで投げ合ったり、同じグラウンドに立つことができたらうれしい。一緒に3年間、やってきた仲間なのでどこの球団に入るかすごく楽しみです」
ドラフト当日は虎風荘の自室で指名の瞬間を待っていたという。今年の目玉は、創価大・田中(ソフトバンク1位)や桜美林大・佐々木(ロッテ1位)。大卒の同級生が続々と指名されていく中で、沢田はオリックスから8位指名を受けた。
「ドラフトの最中もメールしていたんですよ。決まってからも、“おめでとう”と送りました。(順位は)もうちょっと上かなあと思っていたんですけどね。でも素直にうれしかったですね。同級生が同じプロの世界に入ってくるので」
誰より沢田の実力を知る藤浪はプロの舞台での再会を心待ちにしていた。高校時代は藤浪がエースとしてチームを引っ張り、甲子園春夏連覇を達成。それを支えていたのが沢田だ。夏の甲子園では熊本代表・済々黌戦に先発し、2失点の完投。藤浪は「すごくいいピッチャーです。コントロールがいいし、スピードも150キロ出ますから」と沢田について語っていた。
例に出していたのが高校時代の3ボールのカウントから始まるシート打撃の練習メニューだ。藤浪は「最初は全然、ストライクが入らなかった」と苦笑いで振り返る。コーナーを狙うと外れ、真ん中のストライクは痛打を食らう。一方、制球力に優れる沢田は次々とクリアしていったという。強豪校で、ライバルの存在が藤浪の成長を加速させていったことは言うまでもない。
藤浪の実家の自室には、これまで使用してきたグラブが飾られている。その中に1つだけ、自分以外のものがある。「野球部を引退したときに沢田と交換した」という宝物のようなものだ。
「一緒に自主トレですか?機会があれば、できたらいいですね。(同じ関西で)近いですし、食事にも行けるので。高校の同級生が活躍するのはうれしいですし、自分も頑張ろうと思います」
今季の藤浪は7勝11敗と不本意な成績に終わった。かつてしのぎを削ったライバルのプロ入りは、他の同級生とはまた違った刺激となるはずだ。(デイリースポーツ・杉原史恭)