【野球】元G鈴木尚広氏がセの盗塁王を予想、阪神・糸井は…
オリックスからFAで阪神に加入した糸井嘉男外野手。昨季は53盗塁をマークし、西武・金子侑とともに自身初のタイトルを獲得した。衰え知らずの脚力で、移籍1年目の今季は球界史上2人目となるセ・パ盗塁王にも期待がかかる。
昨季、2年連続でセの盗塁王に輝いたヤクルト・山田がマークした数は30。単純に数字だけを見れば、糸井にとっては十分に手の届く数字だが…。
先日、元巨人・鈴木尚広氏のいる取材現場に足を運ぶ機会があった。通算228盗塁、昨季引退したばかりで現場をよく知る“足の専門家”。せっかくなのでセの盗塁王を予想してもらったところ、「コンディションが万全ならという条件付きで、梶谷君(DeNA)かな。田中広輔君(広島)もいいかなと思うけど、やっぱり梶谷君。彼はチャレンジするからね。山田君(ヤクルト)は慎重派だから。盗塁王は数をこなした方が勝ち。梶谷君は失敗も多いけど、何回でもトライしてくるからね」と、ほぼ迷うことなく回答した。
梶谷は昨季けがの影響で107試合の出場ながら、リーグ3位タイの26盗塁をマークした。鈴木氏の言うように成功率・788は決して高くない。ただ、失敗を恐れず果敢に走るスタイルで、14年には39盗塁をマークしてタイトルを奪取した。
本命・梶谷、対抗・田中の構図。糸井の名前が出てこないので、こちらから振ってみたところ「糸井君は…。難しいんじゃないかな。セの方が走りづらいと思うよ。細かいから」と、小さく首を横に振った。
糸井については「パは『走られても抑えればいい』という大味な面もある。オリックスの時のようにはいかないでしょう。盗塁数は激減する可能性もある」と話すスコアラーもいる。相手の癖の分析や、クイックモーションへの対応には時間が必要。他球団のマークは厳しく、移籍1年目の重圧ものし掛かる。様々な観点から、「スタートを切ることが難しくなる」と予想する声は少なくない。
鈴木氏は「糸井君がどう変わっていくか。そういう意味で、見ものだよね」と、ニヤリと笑った。“超人”と呼ばれる35歳が徹底マークをかいくぐり、いくつ数字を積み重ねるのか。豪快な打撃だけでなく、その足にも注目が集まる。(デイリースポーツ・佐藤啓)