【スポーツ】スノボ大麻使用選手の処分解除も平昌五輪絶望 更生の成否はここから
全日本スキー連盟(SAJ)は4日、都内で理事会を開き、米国遠征中に大麻を使用したとして、昨年4月に競技者登録の無期限停止処分を下したスノーボード・スロープスタイルの男子選手(当時未成年)の処分解除を決定した。ただ、強化指定選手復帰の特例は設けない方針で、本人が希望していた18年平昌五輪出場の可能性は絶望的となった。
皆川賢太郎競技本部長は「第3者委員会(元判事ら3人で構成)からの評価もある。彼自身の変化も感じるし、最終的には会長がまとめた」と処分解除の理由を説明。一方で五輪に繋がる強化指定選手の復帰については「現段階で競技本部としては考えていない。特例を設けるつもりはない。ルールに従って対応する」とした。
平昌五輪出場へは、競技者登録後、強化指定をされた上でW杯に出場し、8位以内に入るなど連盟の派遣基準をクリアする必要がある。強化指定選手になるには、規定上前年の全日本選手権に出場していなければならず、同選手は出場していない。事実上、平昌五輪への道は断たれたことになった。
同選手は国際大会で入賞するなどの実績を誇った元日本代表選手。処分後、スキー連盟はボランティアなどの更生プログラムを課していたが、今年1月に離脱し、プロの大会に出場したことで処分継続となっていた。しかし、来年2月の平昌五輪出場を目指して登録復帰を希望し、10月の理事会の場で謝罪。同月に更生プログラムに復帰し、複数のヒアリングや、サッカーのいわきFCでのボランティアなどに励んでいたという。皆川競技本部長によると「五輪への強い思いがあったからこそ」の行動だったという。
五輪が絶望となり、ここから真の更生がなっていたかどうかが、問われることになる。今後は更生プログラムの第2段階に移行し、1年間競技を行いながら、活動日誌の提出を義務づけ、ヒアリングも継続的に受けることになる。FISの大会や、プロとしてXゲームなどへの参加は認められるが、五輪という1つのモチベーションを失った中で、プログラムを続けることができるか。
同選手はまだ20代前半。来季以降の強化指定選手復帰の道は開けており、22年北京五輪での活躍も期待できる。同競技本部長は「人間はミスは必ずある。何かあれば更生させて、スタートラインに立たせて、一流選手にする義務も我々は負っている」と、同選手の今後の飛躍を願った。アスリートとして、そして一人の人間としての真価が問われることになる。(デイリースポーツ・大上謙吾)
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