【野球】プロからドラ1候補まで依頼が集まる23歳異色トレーナー 同大4年・濱盛力さん

 この春に大学卒業予定でありながら、経営者とパーソナルトレーナーを兼ね、今秋のドラフト1位候補からプロ野球選手までを指導する異色の経歴の元独立リーガーがいる。濱盛力(はま・もりちか)さん(23)は2月に自身が指導を行う野球特化型ジムを大阪府内にオープンさせた。広島では中村奨成外野手らに指導を行い、宗山塁内野手(明大)ら今秋ドラフト候補選手も師事する。23歳の若さにして多くの選手から支持される理由とは。

 広島の沖縄キャンプの休養日。閑散とする球場にやってきた中村奨は屋内でマシン相手に打ち込んだ。スイングを繰り返す中で時折、後ろに設置して撮影していたタブレットに話し込む。「高校の後輩とズームをつないでバッティングを見てもらっていました。自分に合っているかなと思って教えてもらっています。本当に体のことをよく知っている。すごいんですよ」と明かしてくれた。

 その時にズームで中村奨と話していたのが濱盛力さんだ。今春に同大を卒業する23歳。会社を設立し、2月には大阪府東大阪市に野球特化型のジムを開設した。オープン間もないものの、すでに約80人の顧客を抱え、東京など全国から濱さんの指導を求めてジムに足を運ぶ選手がいる。プロ野球選手に加えて今秋のドラフト1位候補の宗山塁内野手(明大)や金丸夢斗投手(関大)、渡部聖弥外野手(大商大)も指導する。

 「失敗の多い方が成功する確率も高くなるので、大学生のうちに失敗をいっぱいしておきたいなと。失敗しにいったらポツポツと成功したっていうのが今ですかね」と濱さん。底知れぬバイタリティーを有する中、SNSで支持が広がっていった。自身のインスタグラムのフォロワー数は現在6万超え。昨年まで自身も最速151キロ右腕としてドラフト候補選手だった。『150キロへの道』と題し、自身の投球フォームやトレーニング法を地道に投稿。その取り組みに興味を持つ人が現れ、DMなどでの指導依頼を通じて、徐々に事業の形となった。

 濱さん自身、異色の経歴の持ち主。広陵高では控え部員で、1浪して同大に一般入学。大学では「野球を楽しみたい」という思いで準硬式野球部に所属し、一時期は独立リーグでもプレーした。プロ入りを目指した昨年はドミニカ共和国にも渡って、メジャーリーグ傘下のトライアウトを受験。マーリンズ傘下など複数球団からオファーを受けたという(条件面などで断念)。

 指導の原点は高校時代の経験。「ケガの仕方は知り尽くしている」というくらいにケガに度々泣かされ、ベンチ入りを果たせなかった。そこで体の勉強に独学で着手。元々心理学にも興味があったことから、今では選手の性格も加味して、おのおのの体に合った指導をしており、そのクオリティーの高さが支持を集めている理由だ。

 昨秋のドラフト会議後に選手としては見切りをつけた。「元々プロというよりも指導に興味があったので、遠回りして本線に戻ったという感じですね」と笑った濱さん。選手に寄り添う指導で、パーソナルトレーナーとしての道をまい進する。(デイリースポーツ・畠山賢大)

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