【野球】もし「ピッチコム」使用が可能になれば、日本球界で外国人捕手の需要が飛躍的に増すだろうか

 もし、日本球界に「ピッチクロック」が導入され、「ピッチコム」の使用が可能になれば、外国人捕手の需要が飛躍的に増すのだろうか。

 今季も日本ハムでは捕手もこなせるアリエル・マルティネス(27)の活躍が期待されているが日本球界で活躍した外国人捕手は数人しかいない。近年では1989年から1992年にロッテでプレーしたマイク・ディアズ(63)、2000年、中日に在籍したデーブ・ニルソン(54)の名前が挙がるぐらいだろう。

 捕手は守備の要、司令塔で“グランド内の監督”の役割を担っているが、外国人捕手には言葉の壁が付きまとう。そのため、NPBの各球団は外国人捕手の獲得に積極的ではなかったが、昨季捕手での31試合を含めて119試合に出場し打率・246、86打点、15本塁打の成績を残し、球宴にも初出場を果たしたマルティネスの活躍が一石を投じるかもしれない。

 彼は捕手で出場した場合、積極的に自ら覚えた日本語を駆使し、投手陣とコミュニケーションを図っている。それでも、バッテリー間でのサイン間違いというトラブルが生じたケースはあっただろうが、MLBで使用されている「ピッチコム」があれば、その問題はある程度は解消される。

 今季、MLBでは「ピッチクロック」2年目を迎える。このルールは試合時間の短縮が目的で、投手が打者に投球するまでの時間を制限する仕組みだ。手短にいえば投手は捕手よりボールが返球された以降、走者がいなければ15秒、走者がいるケースでは18秒以内に投球動作に入らなければいけない。違反すれば、自動的に1ボールが追加されることになっている。

 そのためサイン交換に時間を短縮するため「ピッチコム」という機械が使用される。「ピッチコム」には発信器と受信機の二つの役割がある。発信器には1から9までの数字が書かれたボタンがあるが、そのボタンを押すことで受信機を持った他の選手に球種やコースを伝達することが可能となっており、1回目のボタンで球種、2回目のボタンでコースを伝達する仕組みになっている。

 発信器自体を所持できるのはピッチャーかキャッチャーのひとりだけだが、最大で他の野手3人も受信機の所持は可能だという。MLBではサインプレーが多く、コースや球種ごとに守備位置を変えるセカンドやショートなどのセンターラインの選手が装着するケースが多い。もし、NPBでこの「ピッチコム」の使用が可能になれば、試合中に言語の壁がある程度までは取り除かれることが可能になってくるだろう。

 かつて故野村克也氏や元ヤクルト監督の古田敦也氏(58)、元中日監督の谷繁元信氏(53)など名捕手と呼ばれた選手たちが試合に常時出場して投手陣をリードしてきた。しかし、最近では各選手に関するデータ分析も進んだ上に、投げる球種も増え、サイン交換も複雑になっている。捕手への負担は年々増すばかりで、1人の捕手で1シーズンを乗り切るのは難しい時代になっている。ところが、捕手を一人前にするため手間暇がかかる。そう考えれば、外国人に広くその人材を求める手はある。米国にはメジャー経験者ではなくても強肩で、技術に優れた捕手がいる。「ピッチコム」が利用できれば、そんな選手たちの獲得も可能になるのではないだろうか。(デイリースポーツ・今野良彦)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス