【野球】「人生は敗者復活戦」を地で行くDeNA・西巻 24歳で2度の戦力外から這い上がったハマのスーパーサブ

 チームスローガン「横浜進化」に欠かせないピースとして、背番号67が輝きを放っている。DeNA・西巻賢二内野手(24)だ。内野を全ポジション守れるユーティリティーぶりと、ハングリーに次の塁を狙う果敢な走塁はチームに活気を与えている。楽天、ロッテと2度の戦力外から這い上がった不屈の男が、プロ7年目の今季、初の開幕1軍へ猛アピールを続けている。

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 その目には、ギラギラとした光を宿している。167センチの小兵ながら、タフなハングリー精神はチーム随一だ。守備固めに代走に、求められる役割をアグレッシブにこなす。

 一塁、二塁、三塁、遊撃と内野は全て守れるオールラウンダー。代走の切り札としても期待は大きく、オープン戦では現在7試合に出場し3盗塁をマークしている。特に9日の西武戦(横浜)では、1死一、二塁から投手・与座の初球を盗み、隙を突いて三盗を成功させた。昨季リーグ最下位の計33盗塁に甘んじたチームは機動力革命を掲げており、テーマを積極的に体現している。

 三浦監督は、そんな西巻について「自分が何を求められているかが、よく分かってグラウンドに立っている」と評価。石井チーフ打撃コーチ兼走塁兼一塁ベースコーチも「面白い選手。走塁の技術も持っているし、時に空回りしながらも果敢に狙おうとする気持ちは、このチームに必要なもの」と一目置いている。

 途中出場ならではの準備と心構えは周到だ。試合前日の夜には、ベンチ入りしている相手投手全員を映像でチェックするのがルーティン。「走者なし、走者一塁、二塁…など場面によっての投手の癖や昨年との違いなどを確認します」と西巻。「今、根拠を持って走れているのが自分としてはいいのかなと。盗塁ひとつにしてもなぜ走ったのか常に説明できる」と話す。

 22年オフにロッテから自身2度目の戦力外通告を受け、12球団合同トライアウトを経てDeNAに入団。24歳にして3球団を渡り歩いた経験から、プロとして生きるすべを熟知している。「漠然と『スタメンを狙います』じゃなく、どういうところで生き残っていくのかと考えたとき、自分の場合は『野球脳』。頭を使って野球をすること。過去2球団での経験から、何が必要かをより知ることができたのは強みかなと思います」。

 走塁はその一つだ。「自分は(ソフトバンクの)周東さんみたいにめちゃくちゃ足が速いというわけではない。どこで補っていくかと考えたら、スタートやスライディングとかの技術。より投手を観察して試合に入っていくことが大事になってきます」。野球脳を武器に、唯一無二のスーパーサブとして生きる覚悟だ。

 「人生は敗者復活戦」。これは宮城・秀光中時代の恩師であり、22年夏の甲子園で東北勢初の優勝に導いた母校・仙台育英高の須江航監督(40)の名言だ。昨年12月には第1子となる長女も誕生し、愛する家族のためにもこの言葉を地で行く生きざまを見せる。(デイリースポーツ・福岡香奈)

 ◆西巻 賢二(にしまき・けんじ)1999年4月22日生まれ、24歳。福島県会津若松市出身。167センチ、70キロ。右投げ右打ち。内野手。仙台育英から2017年度ドラフト6位で楽天入団。19年オフに自由契約となりロッテにテスト入団。22年オフに2度目の戦力外通告を受け、12球団トライアウトを経て育成枠でDeNA入り。23年4月に支配下復帰。仙台育英では1年夏から3度の甲子園出場。

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