【野球】巨人バッテリーが見せる両端10センチの変化 優勝へカギとなる「四球を与えない巨人と奪う阪神」

 2024年シーズンは伝統の一戦から始まる。優勝争いが予想される両球団だが、カギになりそうな数字が「四球」だと考える。「四球を与えない巨人と、奪う阪神」。今回は攻略のヒントになり得る試合にスポットを当てる。昨秋から巨人バッテリーが見せる両端10センチの変化。ここに見えた、阪神攻略の糸口-。

 目前に迫るシーズンを控え、阿部野球がチームに浸透している。昨秋キャンプから指揮官は投手陣に「困ったら、ど真ん中に投げろ」と意識改革を求めた。春のキャンプでは捕手に「ゾーン内で勝負を」と伝え、構える位置を意図的に真ん中付近にするよう指示。距離にして約10センチの変化だが、違いは明らかだった。

 1月のスタッフ会議。杉内チーフ投手コーチは、セ6球団の捕手が構えた位置をデータで示した。「ゾーン内で勝負していた」阪神、広島、DeNAの上位3球団に対し、Bクラス3球団のミットは外にあった。正捕手の大城卓も「データで見ると、寄ってるなというのはありました」と驚きの表情。本塁打が出やすい東京ドームを本拠地にする背景もあるが、投手陣も次々と効果を口にした。高橋礼もその1人だ。

 「監督がキャッチャーにいる感覚。難しいことを考えなくてもいいよって、言葉が余裕を持たせてくれる。自分としてはすごくありがたいです」 右腕は既に開幕ローテ入りを決めた。昨年11月にソフトバンクからトレードで加入。近年、制球面の課題を指摘されてきた変則右腕が、新天地で復活の時を迎えようとしている。インパクトを残したのは10日の阪神戦(甲子園)。開幕を想定した打線に対し、4回を投げて2安打無失点。与四球は1で、大胆な投球が奏功した。

 前哨戦。互いに全て手の内は見せないが、高橋礼は虎打線の特徴を感じ取っていた。「初球、あまりスイングをしてこないのは肌で感じた。その辺はプラスにもできる」。当然、「チャンスでは初球から来る」とし、相手打者の特徴や場面で違いはある。ただ野球はメンタルスポーツで、制球面に不安を残す投手には“魔法”の言葉と行動。チームとしても、昨季は1試合平均2・8個の与四球数が、今春オープン戦では同2・23個。143試合に換算すれば、大幅な減少が見込まれる。

 阪神では昨年、岡田監督の提案で四球の査定ポイントを変更。安打と同等まで引き上げた。結果的に効果は勝敗に直結。一昨年の358個から大幅アップし、両リーグ最多494個で得点力も増加。18年ぶりリーグ優勝、38年ぶり日本一に欠かせなかった。西武・渡辺GMも「査定に新しく組み込むよ」と話すなど、現代野球で四球の価値が高まっている。

 「四球を与えない巨人と、奪う阪神」。開幕カードから、勝敗を分けるポイントになりそうだ。捕手が見せる「攻めの構え」に、「困ったら、ど真ん中に投げろ」の“呪文”だけではない。阿部監督は攻撃では進塁打、バントなどの自己犠牲、チーム打撃を重視。走塁では「信号無視しない暴走族をつくりたい」と、先を狙う意識の浸透を図ってきた。走、攻、守…随所に見せる改革。岡田監督も恐れる巨人の変化が、セ・リーグの優勝争いをさらに熱くさせる。(デイリースポーツ・田中政行)

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