【野球】岡田阪神2年目 進化するカットプレー 甲子園&バンテリン用Wカットマンに見える王者の強さとは

 阪神のカットプレーが進化を遂げようとしている。練習では外野から本塁への送球で2人のカットマンを中継する場面があった。筒井壮外野守備走塁コーチ(49)は広い甲子園とバンテリンドームで新たな形を導入する可能性を示唆。さらに精度を高めたカットプレーで守備網をより強固なものにしていく。

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 中日とのオープン戦を控え、14日にバンテリンドームで行われた全体練習で、ある変化に気付いた。シートノックで左中間深くに飛んだ打球を左翼・ノイジーと中堅・近本が追う。捕球したノイジーが遊撃・木浪に送球。さらに一塁・大山を中継して本塁までボールをつないだ。外野最深部から本塁まで2人のカットマンを挟んだ。

 「甲子園とバンテリンはあの形になる可能性があります。球場のキャパシティー(容量)が大きいので。(セ・リーグでは)2つの球場だけだと思いますが」。決定事項ではないとしたが、筒井コーチは“スペシャルプレー”導入の可能性に触れ、入念に準備を進めていることを明かした。

 岡田監督の就任後、外野手からの返球はカットマンへの送球を基本とし、カットマンの先を射抜くくらい強く投げることが徹底されてきた。本拠地の甲子園は両翼(95メートル)と中堅(118メートル)に限れば横浜スタジアムに次いで小さいが、左右中間は118メートルと12球団で最も距離が長く、バンテリンドームも左右中間は116メートルと外野は広い。フェンス際からのカットプレーは必然的に距離が伸びる。より強く、より正確を期すために2人のカットマンを中継する形となるという。

 練習ではノイジーの送球が木浪の頭上を越える場面もあり、まだ精度を高める余地は残っている。練習後の三塁側ベンチでは、2人が中継の距離について通訳を交えながら活発に意見交換をしていた。木浪は「1回暴投があったんですけど、自分が思ったより(近くに)付け過ぎただけ。シェルドン(ノイジー)は肩が強いので。距離感を話せましたし、あとは大丈夫」と収穫を口にした。

 岡田監督が掲げてきた「守り勝つ野球」の一端であるカットプレーだが、2年目を迎えて“哲学”は着実に浸透している。2日・日本ハム戦(札幌ド)では鮮やかな挟殺プレーが2度見られた。

 二回2死二塁で門別が田宮に左前適時打を浴びたが、左翼・前川は素早い打球処理から遊撃・木浪に送球。二走の本塁生還は許したが、二塁を狙った打者走者の田宮を一、二塁間で挟み込んだ。五回も2死二塁で漆原が細川に右前適時打を許したが、右翼・森下が一塁・大山へ力強く送球。1点を失ったが、再び打者走者の細川を一、二塁間で挟殺した。

 いずれの局面でも1点を失ったが、確実にスリーアウトに持ち込み、傷口を最小限に抑えた。岡田監督は「ホームに投げてもセーフやろ。それだけのことやんか。セーフやったらバッターランナーをアウトにするってことやな」と「当然」を強調したが、“レーザービーム”による派手な補殺よりも、一見地味なカットマンへの送球で一つずつ確実にアウトをもぎ取っていく姿に日本一王者の強さが垣間見えた。

 春季キャンプでも、ある球団のスコアラーが愚直なまでに繰り返されるカットマンへの送球に驚きつつも、統率のとれたプレーを称賛していた。さらに精度が磨かれ“スペシャルプレー”も加わり、進化したカットプレーこそが岡田野球の神髄と言っても過言ではない。(デイリースポーツ・山本直弘)

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