【野球】1週間で3発!広島・宇草を進化させた新井良太2軍打撃コーチの助言とは?

 広島・宇草孔基外野手(27)が打撃で存在感を高めている。開幕は2軍スタートだったものの4月9日に1軍昇格。同20日・巨人戦から27日・中日戦にかけ1週間で3本塁打を放つ躍動ぶりを見せつけた。昨季は一度も1軍出場がなかった若鯉の復活。その裏にあった、新井良太2軍打撃コーチ(40)の助言に迫った。

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 進化を遂げた打撃がカープの4月戦線を熱くさせた。宇草は4月20日から27日までの1週間、計5試合で3本のアーチをかけ“旬”の活躍を見せた。「2月、2軍キャンプでの期間がなければ(今の自分は)絶対ないと思う」と実感を込めた。

 その2月からは、新井良太2軍打撃コーチと二人三脚で歩みを進めてきた。同コーチは「一貫して二つのことしか言ってなかった」と明かし、「メカニック的な部分ではタイミングを取る時、しっかり頭を(捕手方向に)引いて、そこから振りに行く時に『一切、顔を出すな』と。それでスイングワークも変わってきた」と語った。

 元々、打ちに行く際に頭の位置が投手側へ移動する悪癖があった。その修正を最優先に口酸っぱく伝えてきた。「今のはどうですか?」「ダメ」「今のは?」「いい」という具合に結果が安打、凡打に関係なく確認を繰り返した。

 同コーチが話す「スイングワーク」とはバットを振れるスペースのことを指す。頭が突っ込むとバットを出せる場所は限られるが、頭を残して始動すればスイングの可動域が広くなり、思った箇所にバットを出せる。これには宇草自身も変化を実感。「頭が動かさないことでヒットの種類が増えた。詰まっても(外野手の前に)落とせるイメージも湧くし、前で拾ってバットに乗ってくれるイメージも出てきた」と成長を体感している。

 そしてもう一つ、同コーチは宇草に伝えた。「精神的に、ブレるな」。技術的な方向性に確固たるものが見つかっていない段階。一流選手の打撃動画や考え方に手軽に触れられる時代になった。それをヒントに多方面から自身の技術向上を図ることを、あえて禁じた。

 「自分で『これ、どうかな?アレ、どうかな?』ってやるのはダメって(言った)。いい意味でも悪い意味でも考えて、いろんなところから情報収集しようとするから。日によってフォームが違ったこともあった。顔だけは絶対、前に寄らないことを軸に考えてやりなさいと」

 枝葉にこだわって打撃の根幹がおろそかになることは一番避けるべき。真面目な宇草の性格を踏まえての助言だった。「アイツは元来、打つ能力はあるから」と新井コーチ。明確な方向性を示したことで本人の迷いを打ち消し、本人も「すごく考えやすくなった」と感謝。シンプルな教えが今を支えている。

 昨年、一度も1軍出場がなかった27歳は「自分は明日がない立場」と何度も繰り返してきた。危機感と確固たる指針を胸に、1軍舞台に戻ってきた。「(2軍の)スタッフの方々には本当、お世話になった。自分自身、まだまだですが結果でいい姿を見せられれば。やり抜こうと思っている」。心も体もブレることなく、5月戦線も存在感を示す。(デイリースポーツ・向 亮祐)

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