万能な笑いの最高峰はさんま兄さん
R-1でハリウッドザコシショウが優勝した。だがその笑いは高く評価される一方で、ネットなどには「面白さがわからない」という声も上がっている。ハイヒール・リンゴも「実はわからない」と吐露するが「笑いはいろいろ。それもひとつの笑い」と評価した。そのうえでオールマイティーの笑いの最高峰を明石家さんまと位置付け、今後のお笑いタレントの生き残る道として、特化した笑いの専門性と変遷について解析した。
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R-1で優勝したハリウッドザコシショウ。でも「ハリウッドザコシショウ」と言われても誰やこの人!?って正直なりました。「ハリウッドザコシショウ」って読み方はどこで切るねん!?と。「ハリウッド・ザコシショウ」なのか「ハリウッドザ・コシショウなのか」。ウィキペディア見ても、どこで切るかわからへん。愛称がザコシやったからザコシショウなんやとなんとなくわかった程度。たむらけんじが同期なんで、聞いたら「ハリウッド・ザコシショウです。小さな魚の雑魚です。師匠なのに雑魚です」っと教えてくれた。それでようやく読み方を理解しました。
ネットで見ると、ハリウッドザコシショウが面白いという人と、面白さがわからへんという人がいた。実は私もわからへんかった一人。おいでやす小田がおもしろかった(笑)。でも笑いはいろいろやから。それもひとつの笑いのあり方やと思うし、自分のセンスとは違うけど、それがお笑いじゃないわけじゃない。いろんなお笑いがあっていいと思う。
私にもわからない笑いはいっぱいありますよ。ハイヒールも若手の頃って、オーソドックスじゃなかった。ネタも放送コードぎりぎりやって、クレームも何度も来ましたもん。でも若い子がいっぱい出てきて、私たちがオーソドックスになってしまったんですよ。今はホンマ王道と呼ばれるようになりましたもん。それと同じで、いま若い子がどんどん出てきてる。それはいままでと違う笑いだと思う。
これからのお笑いには、自分の専門分野的なことが必要だと思います。私もテレビの番組でニュースを読み解くというコーナーやらせてもらってる。それならもっと知識を持たなきゃあかんと、また大学に勉強しにいった(※)。極めなダメということなんですよ。オリラジのダンスも、専門分野ということで、同じことなんです。
私から見ると、オールマイティな芸人のテッペンはさんま兄さん。兄さんは芝居もできるし、コントもできるし、素人もいじれる。オールマイティの最高峰。あの人以上の芸人は出てこないと個人的に思っている。それなら兄さんより下の世代は、自分たちの引き出しを増やすという作業になっていくわけです。それが私のようにもう一度大学に行くということだったり、オリラジのダンスや歌なんだと思う。
私たちの先輩の時代は、テレビのレギュラーを持ったら儲かれへんっておっしゃってた。レギュラーは決まった時間に、決まった場所に行かなきゃいけないから、ゲストとして出るんが一番やと。それなら舞台も出れるし、営業も行けるし、もちろんテレビも出れるしって。
私らの時代はテレビのレギュラーを持って、そこで面白いものを表現してナンボという時代に変わった。そして私たちの後の世代はテレビじゃない媒体。例えばブログで“いいね!”がついて、スポンサー引っ張って来れたら月何百万と稼げるから、テレビよりもそちらの世界を選ぶわけです。私らなんてせいぜいDVDの二次使用で稼いだくらいだけど、彼らはSNSで稼いでますからね。
お笑いって、私たちの前の世代と、我々の世代が変わってきて、さらに新しい世代へとい変わっていっている。型に入ってないのがお笑い。お笑いはまだまだどんどん転がっていくと思う。
(※)大阪学院大学に2010年4月から科目等履修制度や聴講生制度を利用し、3年間無遅刻無欠席で通学。「講義で得た知識をテレビ番組で分かりやすく届けてきた。その姿勢が学び続ける社会人の模範となった」と名誉博士号を授与された。