興毅、息子に捧ぐV5「最高の気分」
「WBA世界バンタム級王座統一戦」(4日、ボディメーカーコロシアム)
王者・亀田興毅(26)=亀田=が暫定王者の1位ウーゴ・ルイス(26)=メキシコ=を2‐1の判定で下し、5度目の防衛に成功するとともに、王座を統一した。興毅は長身ルイスを攻めあぐねたものの、中盤から徐々にペースをつかみ、終盤3ラウンドは果敢に打ち合って追い上げた。試合後、来年にスーパーフライ級に転向して日本人初の世界4階級制覇を狙うことを示唆した。
家族に捧げる勝利だ。最強挑戦者ルイスを退けた興毅は「この試合は、結婚して、子どもができて、重要な試合やった。いろんなプレッシャーがあったけど、いい結果が出て良かった。最高の気分です」と、故郷大阪のファンに向かって絶叫した。
KO率87・5%、無敗の暫定王者の肩書はダテではなかった。興毅は身長で10センチ上回るルイスの懐の深さに苦戦。前半はほとんど見せ場をつくれなかった。だが、6回に右フックでぐらつかせてから、徐々に懐に飛び込み、最終3ラウンドの打ち合いで追い上げた。
2‐1の判定、最大でわずか3ポイント差という辛勝に「ホッとした。内容は満足してないけど」と、安どの表情。「いい選手やった。パンチもあったし、一発でももらったらあかんと警戒したし」と、ルイスの実力を認めた。
当初は足を使って距離を取り、左右から攻める作戦だった。だが、「前に出てみると、対応できてなかった」と、作戦を切り替えたのが当たった。勝負を分けたのは「10から12ラウンドの印象」といい、「もうちょっと早く前に出てればよかった」と振り返った。
3月に結婚、9月に長男が誕生。父の重圧を感じてており、「子どもが生まれて初めての試合。負けることは、かっこつかへんし、結果を出せたことには満足している」と、本音を漏らした。長男は美香夫人とともに来場。「子どもは毎日見てるけど、試合前やと気分が違う。しばらくゆっくり一緒に過ごしたい。勝って会えるからうれしい」と、親子の時間を楽しむつもりだ。
そして、父・史郎氏との絆。最強挑戦者との対戦に、史郎氏からは「大丈夫か」と心配され、「もっと練習せえ」としかられたという。その反発もあって、試合後は、リング上で父に向け「どんなもんじゃい!」とほえた。だが、「あんなこと言ったけど、ゆっくり落ち着いたら、一緒に酒飲んでつぶしたろかな」と、笑みを浮かべた。
今後について「スーパーフライ級に転向するなら来年やね」と4階級制覇を狙うことを示唆。「気持ちをリセットして、もう一度心に火がついたら挑戦したいね」と話した。浪速の闘拳は節目の年を勝利で締め、家族とともに、しばらくの休息に入る。