井上尚弥は具志堅、亀田を超えるか?
ボクシングの日本最速記録となる6戦目で世界王座を奪取したWBC世界ライトフライ級王者・井上尚弥(21)=大橋=。記録はもちろん、試合中に左太もも裏がつるアクシデントに見舞われながらも防衛4度の王者アドリアン・エルナンデス(28)=メキシコ=を圧倒した内容は、“怪物”の異名にふさわしい規格外の王者の誕生を感じさせた。
どこまで勝ち進むのか、夢はふくらむ。気の早い話だが、亀田興毅が持つ世界3階級制覇、具志堅用高氏が持つ世界王座13連続防衛の日本記録更新も期待してしまう。では、それが可能かどうかを考えてみよう。
まず、3階級制覇を超える4階級制覇。これは十分可能だろう。若い井上は肉体の成長が続き、エルナンデス戦では減量苦に陥っていた。自身は「フライ級がいい」と希望しているが、所属ジムの大橋秀行会長は「普段のスパーリングを見れば分かるが、スーパーフライ級ぐらいの体重の時が一番強い」と、2階級上が適正との考えを示している。
大橋会長の言葉通り、井上はスパーリングでは元WBA世界スーパーフライ級王者・名城信男氏、世界挑戦経験もある元東洋太平洋同級王者・赤穂亮らを圧倒している。4階級制覇には3階級上のバンタム級まで上げなければならないが、現時点で2階級上の世界トップレベルの選手を圧倒できるのだから、3階級上でも十分通用するだろう。
それでは、13連続防衛はどうか。これも可能だろう。世界王座奪取時の年齢は具志堅氏が21歳4カ月、井上は20歳11カ月と、井上に5カ月のアドバンテージがある。具志堅氏は年3~4度のペースで防衛戦を行っており、仮にではあるが、井上は今の王座を年3試合ペースで防衛していけば、脂がのる時期の25歳で13度を超える計算だ。もちろん相手に左右されるが、王者を圧倒した井上を脅かす挑戦者はなかなか現れないのではないだろうか。
それよりも、問題は2つの記録の両立だ。同じ階級にとどまって連続防衛をしていては複数階級制覇できず、その逆もしかり。記録の面では具志堅氏と興毅の“どちらか”は超えられても、“どちらも”超えるのは難しいだろう。
もっとも、井上は「具志堅さんの記録を超えたい」との目標を掲げる一方で、「記録より、内容で評価されて記憶に残りたい」と話している。ここまで延々と記録を論じたが、ボクシングの評価は誰に勝ったが最も重要で、記録は必ずしも実力を表すとは言えない。記録にこだわって相手を選ぶようなマッチメークは井上自身もファンも望んでいないだろう。だが、いろいろと将来の可能性を想像させ、楽しませてくれるほど、井上の存在は魅力的なのだ。(デイリースポーツ・洪 経人)
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