長谷川引退へ 骨折7回TKO負け

 7回、マットに崩れる長谷川穂積(撮影・神子素慎一)
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 「IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(23日、大阪城ホール)

 ボクシングのダブル世界戦が行われ、3年ぶりの世界戦に臨んだ長谷川穂積(33)=真正=が壮絶に散った。王者キコ・マルティネス(28)=スペイン=に3度のダウンを奪われ、7回1分20秒TKO負け。日本2人目の3階級制覇はならなかった。進退をかけた「集大成」で完全燃焼。試合後、大阪市内の病院で右眼窩(がんか)底骨折と鼻骨骨折と診断された長谷川は、神戸市内の病院に入院。明言こそしなかったが、現役を引退する見込みだ。

 タオルが投げ入れられる直前、レフェリーは手を交差させた。7回TKO負け。この回、長谷川は左フックでダウンを奪われると、最後は顔面への左フックで崩れ落ちた。

 2回だ。強打の王者に打撃戦を挑んだ。当日計量後、自宅で見たのがマニー・パッキャオ(フィリピン)が5階級制覇した時の映像。ラスベガスでの試合に憧れ、パッキャオのような観客を沸かす打ち合いが長谷川の夢だった。技術勝負に徹するのが作戦だったが「最後」は自身の美学で立ち向かった。

 しかし、連打を浴びダウン。会場からは悲鳴が上がり、2回終了後は「穂積コール」がこだました。4回には左目上をカット。流血、フラフラになり、闘志の火は尽きた。「最後は笑っていたい」。その言葉通り、敗戦後はリングでファンに笑って頭を下げた。

 「負ければ引退」を明言していた。試合後は「改めて会見させていただきます」と言葉少なに病院へ。山下会長は「いずれ何らかの場を設ける」と代弁。明言こそしなかったが引退となる見込みだ。

 WBC世界バンタム級王座を10度防衛。10年にWBC世界フェザー級王座を奪取し、2階級制覇。11年4月に同王座を陥落してから1111日ぶりの返り咲きはならなかった。

 「世界戦は3年間、テレビで見ていない。興味が薄れている」と気持ちを維持するのもやっと。日々、引退後のことを考えた。

 「嫁はんと何か商売ができたら」。第2の人生は、支えてくれた泰子夫人への恩返しが一番。「ボクシングはセンスでやっていたから教えるのは無理」と指導者は頭にない。「家で卓球教室やろうかな」。自身は中学時代に兵庫県西脇市の大会で優勝し、長男も現在卓球部。「五輪選手を育てたい」と、意外な夢も持つ。

 「ボクシングを好きなままで終わりたい」との思いで戦った集大成。レジェンドは完全燃焼した。

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