世界初挑戦の川西友子“下克上”宣言!
「WBA女子世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(7月7日、後楽園ホール)
なにわの新鋭が女子ボクシング界のエースに「世代交代」を突き付けた。7月7日、東京・後楽園ホールでWBA女子世界スーパーフライ級王座戦に初挑戦する同級4位の川西友子(27)=大阪帝拳。同級王者・藤岡奈穂子(38)=竹原&畑山=を相手に“下克上”を宣言した。
圧倒的不利の下馬評に闘志をかき立てる。「みんなそう思っているでしょ。それを覆すつもりだし、歴史を変えさせたい」と、番狂わせに自信満々だ。
3月にOPBF女子東洋太平洋同級王座のV2に成功。当初は防衛を重ねる方針だったが1カ月半前に突然、王者側からオファーが舞い込んだ。調整期間は通常なら試合まで2カ月が必要ながら、「最強王者。強い相手の方が気持ちが盛り上がる」と即決した。
藤岡は日本女子の絶対エースとも呼べる存在だ。11年WBC女子世界ミニフライ級王座を獲得。昨年、3階級も上のWBA女子世界スーパーフライ級王者・山口直子(36)=白井・具志堅=を破り2階級制覇を達成した。
川西も「すごい人」と尊敬する大先輩。それでも、「世代交代します。私が次の世代を引っ張る存在になる」と言い切った。
08年、JBC(日本ボクシングコミッション)が女子プロボクシングを公認して以降、アマ実績豊富な女子ボクサーがプロとなりリードしてきた。だが藤岡、山口らを筆頭に30歳代も半ばを過ぎた。
川西ら20歳代の多くはプロ公認以降、本格的に競技を始めた。川西も大阪人間科学大時代はバスケットボールに打ち込み、全国準優勝。ただ同期のほとんどが実業団に進む中、自身には声がかからなかった。「悔しかった。もう区切りを付けよう」とバスケットの道を断念。未知のボクシングに転身した。
10年にデビューし、5年で世界王座挑戦まで駆け上がった。藤岡ら“エリート”が第1世代なら、川西らは素人出身の第2世代。競技を活性化させるためにも世代交代は必須。「いつまでも藤岡さんたちを王者でいさせては女子ボクシングが盛り上がらない。20代が代わらないと」と、引導を渡すつもりだ。
171センチの長身でバスケット出身の身体能力を生かしたスピード感は抜群。「距離を取る」作戦だが、打ち合いも想定。ともにKOするパンチもある。安東浩志トレーナーは「藤岡はこの身長差とスピードはやったことがないはず。勝敗は五分五分だろう」と互角の勝負を断言した。
大阪帝拳ジムでただ1人の女子プロボクサー。名門で育った誇りは高い。渡辺二郎、六車卓也、辰吉丈一郎の3人の世界王者を育て、07年に死去した先代会長・吉井清氏(享年74)とは面識はないが常々、「次は女子の世界王者を」と語っていたことを現会長の吉井寛氏から聞いた。
試合前には必ず先代の墓参りに行き必勝を誓う。先代の命日は7月17日。大阪にベルトを持ち帰り、必ず墓前に報告する。