“Mr女子プロレス”神取が長与に勝利

 「LLPW-X」(11日、両国国技館)

 30日に50歳を迎えるLLPW-Xの神取忍(49)が、11年ぶりに対戦した長与千種(49)をスリーパーで絞め落とし、生誕半世紀イベントを白星で飾った。自身の歴史を彩る選手たちの輪に主役が燃えた。自軍には師匠と呼ぶ藤原喜明&因縁深いダンプ松本、敵軍には00年に顔面をボコボコにされた天龍源一郎、激闘を演じた堀田祐美子、そして熱望して3月以来のリングに引っ張り出した長与がいた。

 仲間割れしたダンプにフォークで額を割られて流血した神取だが、ひるむことはなかった。14年ぶりに激突した天龍のグーパンチに耐えると、竹刀攻撃の8連発で14年前の報復を果たした。最後は最大の標的・長与との激突。チョップ、頭突き、サソリ固め、ニールキックでダメージを受けたが、スリーパーは投げで阻止。逆にがっちりと捕獲した。

 「いくという手ごたえがあった。(出場して欲しいという)自分の無理な思いをかなえてくれた長与選手の心意気に応えるためにも落とすのが礼儀だと思った」と約20秒間離すことなく、失神させてレフェリーストップとなった。

 「きょうは感無量。できないとか、無理という言葉は必要ない。長年追い求めた長与選手ともやれて、天龍さんとも戦えて、藤原さんとも組めた。入ったとき、こいつ絶対にプロレスラーとして成立しないだろうというヤツが50歳までやれたことに感謝したい」。天龍については「一瞬、悪夢がよみがえった。また、ボコボコにされるのかなと。リベンジまでは果たせてない。大きい存在がいるのは追い求められるからありがたい。(機会があれば)いつでも挑戦する」と思いを明かした。

 バックステージで、来場した元ビューティ・ペアのマキ上田さんが歌手・城之内早苗とともに「かけめぐる青春」を披露するのは感慨深い表情で聞いた。86年8月17日、ジャパン女子でのデビュー戦の相手が上田さんのパートナー、故ジャッキー佐藤さんだった。その佐藤さんとのけんかマッチ(87年7月)で騒がせたこともあった。「ジャッキーさんの新団体(ジャパン女子)で始まってるし、第一歩を踏み出したのはそこにあるから。歌を歌ってもらえたのには(いろいろな)思いがあった」とうなずいた。

 柔道で84年世界選手権66キロ級銅メダルを獲得し、21歳でプロレスに電撃転向。28年が経過したが、先を見据える神取にとって50歳は通過点に過ぎない。「一寸先は何があるか分からないけど、(現役で)やり続けたい。夢を与えるのが自分たちの仕事。(再来年の)デビュー30周年も(ビッグイベントを)当然やるよ!(両国と)同規模の違う会場でやる作戦を立てたい」。最強のMr女子プロレス”は豪快に笑い、生涯現役を誓った。

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