【川嶋評論】井上は相手探しに苦労する
「WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(30日、東京体育館)
井上尚弥(21)=大橋=が日本選手史上最速8戦目での2階級制覇を達成した。12年間君臨し続けた伝説の王者、オマール・ナルバエス(39)=アルゼンチン=を2回KOで下した。次のステージで2015年を迎える尚弥は、王座統一を含め、この階級での長期政権を目指す考えだ。
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【川嶋勝重ホットアイ】井上尚のパンチの破壊力には驚きましたね。普通、ボクサーというのは来ると分かっているパンチは、たとえもらったとしても我慢できるものなんです。でも、1回に右ストレートで奪ったダウンは、ナルバエスがガードで構えた上から打って倒しています。これには相手も面食らったはずです。
さらに、すごかったのは2回の最初のダウンです。サウスポーのナルバエスの右フックに合わせて、タイミングどんぴしゃの左カウンターで倒しました。恐らくナルバエスはあんなカウンターを浴びたことは今までなかったと思います。あのタイミングとスピードでパンチを繰り出せるのは才能のなせる業でしょう。
このパフォーマンスだと今後は相手探しに苦労するかもしれません。王者同士の統一戦とか海外での防衛戦が見たいですね。いきなり2階級上げて、これだけの名王者を倒しまくるのだから、フェザー級までアップしても大丈夫でしょう。
八重樫は相手の左ジャブが独特のタイミングで来るため、かなりもらったのが効きました。9月のローマン・ゴンサレス戦でKO負けした後だけに、なかなかダメージが取れなかったのではないでしょうか。ゆっくり休んで心身ともリフレッシュしてほしい。(元WBC世界スーパーフライ級王者)