辰吉父ジョー祝福「これがプロや!」
「ボクシング4回戦」(16日、大阪府立体育会館)
元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎(44)の次男、寿以輝(じゅいき、18)=大阪帝拳=がプロデビュー戦に臨み、岩谷忠男(神拳阪神)を2回2分45秒KOで下した。26年前にデビューした父と同じ2回に決めた。
浪速のジョーらしい祝福だった。父・丈一郎は、寿以輝が勝者のコールを受けるとインタビューも聞かずにさっさと席を立った。寿以輝が「勝ったよ!!」とメッセージを送っても知らん顔。通路へ戻った息子の顔を見て、ぶっきらぼうに「これがプロや!!」と一言言った。
本音は違う。辰吉ジュニアというだけで、4回戦は世界戦並みの注目を集めた。「自分も(この環境は)出くわしたことがない」と内心は心を痛めていた。「寿以輝はタフやな。アマ経験もないズブの素人やで」。その言葉に、自分の力で高いハードルを越えた息子への愛情があふれ出た。
ガードを下げて左を自在に動かし、相手のパンチにひるまず進む。危険と隣り合わせの戦法は、かつての自分のスタイルだ。「下がることを練習したけど、オレは性格的にできんかった。(寿以輝も)オレの試合を見てるしな」。受け継がれた遺伝子の強さを、父が誰より感じていた。