新日21年ぶり大阪城で6大タイトル戦

 「新日本」(7月5日、大阪城ホール)

 新日本が7月5日、大阪城ホールに21年ぶり再進出してビッグマッチを行う。昨年5月に11年ぶり開催された横浜アリーナ大会は観客動員で1万人に届かなかったが、G1クライマックス前の上半期の総決算戦は6大タイトルを投入して大台突破を目指す。メーンはオカダ・カズチカがIWGPヘビー級王者のAJスタイルズに挑み、1年2カ月ぶりの復活劇を狙う。当日は後藤洋央紀-中邑真輔のIWGPインターコンチネンタル(IC)戦、真壁刀義-石井智宏のNEVER無差別級戦と3王座の競演リングとなり、ベルトの位置づけという点でも注目される。

 三銃士時代以来の開城マッチは、新日本がオカダ、中邑の「ON」を柱に6大タイトルを投入して総力を結集する。団体所管の6王座が勢ぞろいするのはIC(11年)、NEVER(12年)の後発両王座が新設されてから初めてのことだ。

 昨年5月25日に開催した横浜アリーナ大会の観客動員は7800人で、興行面では期待の数字を達成できなかった。それだけに今回の大阪城ホールでは1万人突破が至上命令のようだ。

 新日本はIC、NEVERの3王座制となった13年以降、複数エース制を推進してきた。IWGP一本だったシングルのヘビー級戦線は必然的にタイトル戦が増加。今回の6王座戦のカード編成が示すように選手もグループ分けされ、中身も多様化した。

 IC王座は昨年のドーム大会でIWGPを差し置いてメーンの座を奪ってベルトの評価を確立した。13年はIWGPと同数の9開催。昨年はAJが王者になったことで開催数が減少したIWGP戦を上回った。

 NEVERも今年は4・29グランメッセ熊本大会のメーンを勝ち取り、存在感も増した。ニュージャパンカップ(NJC)覇者に与えられる挑戦選択肢も、昨年のICに次いで今年はNEVERを含めた3王座に拡大。ベルトの評価をめぐる争いも過熱する。

 昨年は新日本が32万人の観客を動員し、9年ぶり30万人の大台を回復。タイトル戦の増加と王座の価値争いは興行面でのメリットも大きい。

 大阪の陣は6王座それぞれのベルトの価値をアピールする舞台ともなった。横浜アリーナと同一カードとなったIWGP戦は、そんな意味でもオカダの真価が問われる。

 オカダは昨夏2年ぶり2度目のG1覇者となりながら、今年はIWGP戦、NJCで敗退。4・5両国国技館でバッドラック・ファレに報復してようやくスランプを脱出した。AJとは昨年5・3福岡でIWGP王座9連続防衛を阻止されてから4度目の一騎打ち。至宝ベルトの権威を証明するためにも雪辱戴冠の十字架を背負う。

 5・3福岡大会で後藤に敗退した中邑もリターンマッチで王座奪回を誓う。中邑のIC戦は今回が25回目で、11年9月の棚橋弘至戦を最後に遠ざかっているIWGP戦(24回)を上回る。

 同王座は12年7月に後藤から奪取してから4度戴冠。通算15度の防衛で価値を高めてきた。昨年のG1優勝決定戦はオカダに敗れたものの、2年連続でプロレス大賞の最高試合賞を獲得した。

 1・4東京ドームでも飯伏幸太との防衛戦で名勝負をやってのけた。この試合が北米でPPV放送されたこともあり、中邑の評価は世界に浸透。「イヤァオ!」の決めゼリフは今や世界共通語だ。5月の北米、今月の英国遠征でも人気は一番で、復権戴冠の競演へオカダとスクラムを組む。

 中邑とのリマッチに臨む後藤もICとIWGPの2冠統一の野望に燃える。後藤の両王座戦はそれぞれ同数の7回。ICは2度戴冠しているが、IWGPには手が届かない。

 08年のG1で初出場初優勝し、NJC(3回)、ワールドタッグ戦(2回)と公式大会を総なめ。今年の東京ドームでIWGPタッグ王座を獲得したが、同シングル王座は高いハードルだった。棚橋、中邑、オカダに続く“第4の男”になるためには、中邑とのIC抗争が岐路になる。

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