寿以輝2回KO 交通事故にも負けず
「ボクシング4回戦」(20日、なみはやドーム・サブアリーナ)
元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎(45)の次男・寿以輝(18)=大阪帝拳=が2回2分28秒KOで岡村直樹(26)=エディタウンゼント=を下し、父と同じくデビュー2戦連続2回KO勝利を飾った。デビュー戦のスーパーバンタム級から、今回は父と同じ階級に落としての一戦。2週間前に交通事故に遭い、左肩と左膝を打撲しながら、豪快な左フック一発で決めた。
タオルが投入されると寿以輝は高々と左拳を突き上げた。父と同じバンタム級で「辰吉の血」を存分に見せつける豪快な一発KO劇。場内に「寿以輝コール」が鳴り響いた。
1回、「硬かった」と足は動かず手数が出ない。相手のジャブを浴び、3人のジャッジはいずれも9-10とポイントを落とした。
ピンチと思わせ、魅せて勝つのは、やはり辰吉流。冷静になった2回は左ジャブでぐらつかせ、強烈な右をヒット。形勢逆転すると最後は相手の顔面に左フックをさく裂し、リングにぶっ倒した。
25年前の父も東京ドームで行った2戦目を2回KO。父子でデビュー2戦連続2回KO勝利に「(KOの)感触はまあまあ。うれしい」と笑顔を見せた。
2週間前、試合以上のピンチに見舞われていた。自転車に乗っていて車と接触事故。自転車が“廃車”になるほどの衝撃で全身を強打し、左肩と左膝を痛めた。父・丈一郎が「状態はひどかったけど、練習を休まれへんからかわいそうやった」と言う重傷だった。体にむち打ち、前戦より1階級下のバンタム級まで減量。言い訳一つせず、試合に臨み、結果を残した。
体の強さは父譲り。父同様の大食漢で、家族で食事に行けば最初にライス4杯を注文。母・るみさんが「父(丈一郎)も少々腐ったもの食べても胃袋が勝っていた。寿以輝も胃腸を壊したことない」と驚く辰吉家の胃袋が驚異の破壊力を呼ぶ。
幼稚園の時に母に書いた手紙がある。「世界チャンピオンになったらダイヤモンドをプレゼントする」。約束のチャンピオンへの道をまた一歩進んだ。
第3戦は9月22日、東京で行われるWBC世界バンタム級王者山中慎介(帝拳)のV9戦の前座が浮上していたが、事故の影響で結論は持ち越し。「課題は防御。もっと練習しないと。良かったところはないですね。次はスカッと勝ちたい。きょうは打たれ過ぎた」。上だけを見るカリスマJr.は大勝利にも反省ばかりを口にした。