内山、田口が大みそかにW世界戦
「ボクシング・WBA世界戦」(4日、大田区総合体育館)
ワタナベジムは4日、WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・内山高志(35)とWBA世界ライトフライ級王者・田口良一(28)が、12月31日に東京・大田区総合体育館でダブル世界戦を行うと発表した。対戦相手は後日発表される。内山は日本歴代単独2位となる11度目の防衛を懸け、田口は2度目の防衛を目指す。
そこにはスーパー王者としての誇りがあった。内山は一度決まりかけた挑戦者を蹴った。この日、対戦相手が発表されなかったのは、海外からオファーされたランカーを“役不足”として、より強い挑戦者を求めて調整を進めているからだ。
11度目の防衛に成功すれば、世界戦連続防衛は日本歴代単独2位となる。内山は「具志堅さんとは時代が違うので何とも言えませんが、僕なりに他団体のベルトを取ったりして抜いていきたい」と自分の色にこだわる。そのためにも“緩い”挑戦者は認められない。
10度目の防衛戦を終えて間もない5月27日に左ヒジの遊離軟骨除去手術を受けた。ガードが上げられないほどの痛みが消え、6月中旬からは本格的なトレーニングを再開した。「1週間後でも試合ができる状態ですね。これからもっと仕上げていく。勝っていい年を迎えたい」と、好調を維持している。
この日、デビューから10度目の防衛戦までを追った写真集「漸進」(ぜんしん)が発売された。改めて過去の自分の写真を見つめ「東洋太平洋のころと今では体の厚みが違う。10年くらいからは変わっていないですね」とつぶやいた。
円熟期を迎え、調整法も変わってきたという。「自分の体を理解してやることが大事ですね。練習もその日の状態で思い切りやったり、軽めにしたり。マッサージやハリも、疲れがたまる前に受けることにしています」と、自分の肉体との会話は欠かさない。
大みそかの防衛戦は5年連続となる。来年に持ち越した海外進出も「来年、早いうちにできれば。(ニコラス)ウォータースか、(ユルキリオス)ガンボアでもいい。WBAの王座統一戦も頭にあります」と虎視眈々(たんたん)と狙っている。
2度目の防衛戦の相手が中南米の選手とだけ知らされている田口は「ポイントを取る老かいなイメージがある。納得のいくスパーリングをして準備したい」と意気込んだ。
一番のテーマに挙げるのが「スパーリングの内容にムラをなくすこと」という。風邪をひきやすい体質で、体調が練習に直結。「今だから言えますけど、初防衛戦の時は納得のいくスパーリングが1回もできなかった。不安で仕方なかった」と明かした。
さらにハンマーを振るなどの筋トレでパンチ力強化にも力を入れている。「自分の持ち味は打ち合いなので、打ち合いに持ち込みたい」というプランもパンチがあればこそ。「勝っていい形で内山さんにつなぎます」と力強く話した。