辰吉寿以輝 3連勝も連続KO逃し涙
「ボクシング・4回戦」(19日、エディオンアリーナ大阪第2競技場)
元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎(45)の次男・寿以輝(19)=大阪帝拳=が脇田洸一(25)=クラトキ=を相手に判定3-0で勝ち、デビュー3連勝を飾った。父と同じ3戦連続KOを逃し、控室ではおえつをもらし、悔し涙。見守った父は、攻守に成長を見せた息子に及第点を与えた。
寿以輝は勝利の判定コールにリング上でニコリともしなかった。控室に戻ると、あふれる感情をこらえ切れなかった。グローブで顔を押さえ、人目もはばからず「お、おうぅ」とおえつを漏らした。
父と同じ3連続KOを逃す悔しい3連勝。それでも、過去2戦よりはるかに濃い内容が詰まっていた。1、2回から軽快に動きジャブで組み立てた。3回は右フック2発を被弾するピンチを耐えた。
決めにいった最終4回、最後は辰吉家の“宝刀”左フックを顔面にぶち込み、あと一歩まで追い詰めた。
「いい勉強。倒せる場面もあって無理やった」と会見では笑顔に戻った寿以輝。「もっとジャブを突いて、頭を振って」と反省もあるが「前ほどカーッとならなかった」と収穫を口にした。涙の意味を問われると「うそ泣き、うそ泣き。絵になるようにやってただけ」とごまかした。
強打の宿命でグローブはすぐに破れ半年も持たない。寿以輝の左の人さし指、中指の付け根は常に血豆が破れて固めての繰り返し。割れた患部に母はオロナインを塗るのが日課。父から受け継ぐ“石の拳”を固めてきた。
7月の前戦、ファイトマネーの一部を母にプレゼント。「夏場に無理させた。ありがとう」。暑がりなのに減量のため冷房を切ってくれていた母を3戦目も何とか安心させた。
デビューから大注目を浴び、駆け抜けた2015年を泣いて笑って締めた。次戦は来年3月を予定し、勝てばB級に昇格する。隣に並んだアニキ分の中沢奨と「次は2人で2ラウンドKOだ」と誓い合った。
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