山中苦闘V10 ダウンで「目覚めた」
「ボクシング・WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(4日、島津アリーナ京都)
WBCのダブル世界戦が行われ、バンタム級は王者の山中慎介(33)=帝拳=が、同級3位のリボリオ・ソリス(ベネズエラ)を相手に、ともに2度のダウンを奪う打ち合いとなったが、3-0で判定勝ちし、10度目の防衛を果たした。日本のジムに所属する男子の世界王座連続防衛回数で、3位の長谷川穂積(真正)に並んだ。ライトフライ級王者の木村悠(32)=帝拳=は同級5位の挑戦者、ガニガン・ロペス(メキシコ)に0-2で判定負けし、初防衛に失敗した。
山中が、ダウン応酬の苦しい闘いを制した。最終12回は、逆転の猛攻に出るソリスに左を連発。KO勝ちこそ逃したが、見事な勝利だった。
2回に右フックでダウンを取った。「油断があった」と振り返ったのは3回。右をまともにもらってダウン。さらに、左にカウンターを合わされ、この回2度目のダウンを喫した。防衛戦では初めてのことだった。
「ダメージはなかったし、慌てることはなかった。逆に目が覚めた感じでしたね」と、エンジンをかけ直した。好戦的なソリスに対し、ノーモーションの左を繰り出した。9回には左の打ち下ろしで、2度目のダウンを奪い返した。
「ピンチになっても自分のボクシングを忘れずに戦えたのは、前回のモレノ戦で得たものだと思う」と振り返りつつ「左を正確に打ち抜けなかった」と山中らしいダメ出しもあった。
過去のどの試合よりも「ホーム感」があった。南京都高でボクシングに明け暮れた日々。プロとして初めて立つ京都のリングには、3千人を超える応援団が詰めかけた。
また、沙也乃夫人の誕生日と初めて重なった。「これまでバッグとか、物しかプレゼントしてこなかった」と、どこにも売っていない「勝利」を贈ると決めていた。「それが一番のプレッシャーでした」と笑顔を見せた。苦しい闘いを乗り切り、山中が大台に到達した。