田口3連続TKO防衛 ダウン5度奪う

 「WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ」(27日、大田区総合体育館)

 ライトフライ級王者の田口良一(29)=ワタナベ=が、同級7位フアン・ランダエタ(37)=ベネズエラ/カシミ=に11回終了TKO勝ち、3度目の防衛に成功した。9回、ボディーで最初のダウンを奪い、この回だけで2度倒した。10回に1度、11回には2度のダウンを奪うと、ランダエタ側が棄権した。

 11回終了後、ランダエタ陣営が棄権を申し入れた。終盤、5度のダウンを奪う文句なしの防衛だったが、田口に心からの笑みはなかった。

 9回に左ボディーで2度、10回には連打からの左、そして11回は左右のフックからの連打と右ストレートでリングにはわせたが、決め切れなかった。

 「もう少し強いパンチで倒し切らないと…。“ダメだ!!”と思わせるパンチを入れたかった」と振り返った。

 老かいなランダエタにてこずった。「思ったより距離が遠かった。軽いパンチだけど、スッと入ってきてもらってしまった」と顔をしかめた。「中盤がよくなかった。声援がなくなったので、多分ダメだと思った」と判断。終盤、倒し切れずに場内がため息に包まれた時は「一緒にため息をついていた」と苦笑いだ。

 田口の魅力は、強さの中に同居する「もろさ」と「危うさ」だろう。肉体的には免疫力が弱く、風邪をひきやすい体質。メンタル面でも、常に自己の弱さを見つめている。今回の防衛戦では、自己啓発書を手放さなかった。「すぐにやれる人になるため、ですね。思っていても、なかなかできないので」と、メンタル強化に取り組んだ。試合後「まだまだ」と口にしたのは伸びしろのある証しだ。

 防衛戦は3試合連続のTKO勝ちとなった。4度目の防衛戦は、同級2位の宮崎亮(井岡)の指名試合が最有力。さらに、前WBO世界ミニマム級王者の田中恒成(畑中)や、日本ライトフライ級王者の拳四朗(B&M)からもベルトを狙われている。

 田口は「強い選手とやって勝ち上がっていきたい。アウェーでもいい。敵地で勝ったらすごいこと」と、いつ、どこで、誰の挑戦でも受ける覚悟だ。

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