「ボクシング・ＷＢＯ世界女子アトム級王座戦」（１３日、後楽園ホール）

　男女合わせ国内最年長防衛記録を持つＷＢＯ世界女子アトム級王者の池山直（４６）＝フュチュール＝が、挑戦者の花形冴美（３１）と三者三様の判定（９６－９４、９４－９６、９５－９５）で引き分け、４度目の防衛に成功した。４６歳８カ月の防衛は元世界ヘビー級統一王者、ジョージ・フォアマン（米国）の４６歳３カ月を超える年長記録。元世界ミドル＆ライトヘビー級王者のバーナード・ホプキンス（米国）の世界最年長防衛、４９歳３カ月に近づいた。同バンタム級王者の藤岡奈穂子（４０）＝竹原＆畑山＝は挑戦者の真道ゴー（２８）＝グリーンツダ＝に３－０で判定勝ちし、初防衛に成功した。

　被弾もかまわず池山はひたすら前に出てパンチを振り続けた。最終ラウンドも無尽蔵のスタミナで１５歳下の花形をしのいだ。「負けたと思った」と陥落を覚悟したが判定はドロー。執念とガッツが辛くも王座を守らせた。

　「ファイター日本一を証明できず、不完全燃焼」と不満。それでも「首の皮一枚つながった。この年だから注目される。頑張っている価値はある」と４６歳８カ月は安どした。

　４４歳時に男女合わせ国内最年長で奪取した同王座を４度防衛。ついに伝説の世界王者・フォアマンを超える年長記録にまで達した。

　高齢から、日本ボクシングコミッション（ＪＢＣ）からは「負ければ引退」を勧告されている中、崖っぷちの戦いに生き残り続けてきた。

　岡山市役所に勤務する公務員のため、ファイトマネーは受け取っていない。岡山在住でバスと電車を乗り継ぎ、週末だけ京都のフュチュールジムに通う。寝泊まりもジムという倹約ぶり。舛添要一都知事の公私混同疑惑で揺れる東京で公務員の鏡の姿を見せつけた。

　最高齢王者はホプキンスの４９歳３カ月。「あと２年以上はさすがに無理」と苦笑いしたが体力に衰えはない。「これからもっと強くなるよう練習していく」と“女鉄人”はさらなる進化を誓った。