「ボクシング・ＩＢＦ世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」（３１日、島津アリーナ京都）

　ダブル世界戦の調印式、ルールミーティング、前日計量が３０日、京都市内で行われ、４選手とも一回でパスした。世界初挑戦の小国以載（２８）＝角海老宝石＝は、王者ジョナタン・グスマン（２７）＝ドミニカ＝が日本に持ち込んだ特注グローブが、自身のものより「薄い」と猛クレーム。前代未聞、グローブまで計量させ、両陣営にピリピリムードが漂った。団体内王座統一戦に臨む王者・井岡一翔（２７）は来年、海外で他団体王者との統一戦が浮上した。

　王者の特注グローブをチェックした小国の顔色が変わった。「薄くないか？握りやすいし」。自身のと感触が違うのは明らか。重さを量るよう要求した。

　世界戦の調印式で前代未聞の光景だった。ホテルの会場に急きょ持ち込まれた、調理用はかりの上に乗せられた両者の“グローブ計量”。それを見つめる両陣営。ともに８オンスの“一発クリア”で問題なしの判定とはなったが、王者はピリピリだった。「試合前から、もう負けた時の言い訳を考えているのか！！」と吐き捨てた。

　先制パンチを放った小国は「（王者のグローブは）新品だけど、しわしわになっていた。たぶん（拳の部分を）丸めてつぶした。明らかに形がおかしい」と疑惑は晴れない。それでも「重さの問題ではないから」と、量っても“不正”は見抜けないことは分かっていながら猛クレーム。王者をイラつかせ、前哨戦のポイントは奪った。

　王者と同じメキシコ製をあえて選択し、初めて使う。日本製より拳部分が薄いのは間違いなく「最後まで倒しにいく。倒して勝つ」と玉砕覚悟。２２戦２２ＫＯの完全男を相手に「目をカットさせても、勝てば何でもいい」と、どつき合いの真っ向勝負を挑む。

　兵庫県赤穂市出身。お笑い大好きの関西人は地元で悲願のベルトを巻き、リングパフォーマンスをイメージ済みだ。「勝ったら引退って言おうかな。『普通の男の子に戻ります』って」。２０１６年を締める爆笑必至の小国劇場は見逃せない。