虎の良太から沢へ…金メダルの祝杯を!

 今、阪神で一番ホットな男からのエールだ‐。ロンドン五輪で悲願の金メダル獲得を目指す、なでしこジャパンMF沢穂希(33)へ、阪神・新井良太内野手(28)が自慢の筆で激励文をしたためた。5月に桧山進次郎外野手(43)の音頭で阪神とINAC神戸の選手が神戸市内で焼き肉会を開催。サッカー好きの新井良太が世界最優秀選手の人柄に惹(ひ)かれ、すっかりファンに。沢さん、金メダルの祝杯を!と、歓喜の凱旋を心待ちにしている。

 英国コベントリーで決戦の笛を待つ沢に、熱い男からエールが飛んだ。

 一緒に食事をさせて頂き、とても優しく謙虚な姿に感動しました。

 日本に帰って来て金メダルの祝杯をあげましょう!

 沢さんへ

 遠く神戸で歓喜の瞬間を待ちわびる達筆の主は、阪神でブレーク中の新井良太だ。

 沢と良太。これまで特に接点もなく、プロの実績で雲泥の差がある“姉弟”の出会いは今年5月。沢と親交のある阪神・桧山を介し、神戸の繁華街三宮で食事を共にしたことで面識を持った。桧山の家族を交えた焼き肉会には、なでしこジャパンDFの近賀ゆかりらINAC神戸勢と、浅井ら阪神の関係者が参加。神戸をホームタウンにする人気チーム同士の異種交流会は大いに盛り上がり、沢の隣に座った良太は、世界女王のおごらない人柄に惚(ほ)れ込んだ。

 良太「世界一のプレーヤーなのに、まったく飾ることなく、控えめで、優しい方だった」

 良太が「兄は阪神の新井なんです」と自己紹介すると、沢は「え!?弟さんなんですか!?」と驚いたという。中日時代から今季までプロ6年間で1軍定着のなかった良太を沢が知るよしもないが、一方の良太は球界では無類のサッカー通。自身も小学生時代に2年間プレーした経験を持つだけに、沢のキャリアは阪神関係者の誰よりも熟知している。

 良太「昨年のW杯もずっと見ていたし、沢さんが決勝のアメリカ戦で決めたゴールは、今でも目に焼き付いてます」

 3月に発症した良性発作性頭位めまい症の影響で一時は五輪出場も危ぶまれたなでしこジャパンの大黒柱は、同会が催された5月初旬のリーグ戦(ジェフ千葉戦)でフル出場を解禁。完全復活を印象づけた。低迷する阪神で良太が一躍名を挙げブレークしたのも、沢と出会ったころからだ。

 良太「沢さんははるか上にいる人だし、一緒に食事をさせていただいて、とても光栄。ロンドンから金メダルを持って帰ってきて欲しい」

 敬愛する姉貴へ、書道4段の弟分がプレースタイル同様の熱い思いを筆に込めた。沢が「集大成」と位置づける4度目の大舞台。日本で声をからす良太の思いが通じるか…。

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