INAC神戸V逸も澤「楽しかった」
「女子クラブ選手権・決勝、INAC神戸1‐2リヨン」(25日、NACK5)
決勝戦に進出したINAC神戸は、欧州女子チャンピオンズリーグ2連覇のリヨン(フランス)に延長の末、1‐2で敗れた。前半39分に韓国代表MF池笑然(21)が先制ゴールを挙げたが、後半35分にリヨンDFフランコ(29)に同点被弾。延長後半には痛恨のPKを献上すると同3分、相手DFボンパストル(32)に沈められて力尽きた。3位決定戦では日テレがDF岩清水梓(26)の2得点などでキャンベラ(オーストラリア)を4‐3で下した。
ハイレベルな110分間を終えると、敗戦にもかかわらず不思議と充実感さえも抱いた。「負けちゃ意味がないのですけど、楽しかったですね。自分の中でも、インパクトのある試合だった」。百戦錬磨のMF澤が濃密な一戦を振り返った。
国内で体感できないないような死闘だった。前半はボール保持率を高めて攻め込んだが、決定的なパスを通せない。それでも先制点を挙げて折り返す展開に、星川監督も「前半はプラン通りだった」という。
予想外だったのは嵐のような後半だ。強烈なプレッシャーに、こらえていた守備陣が後半35分に相手ロングボールから決壊。「国内ではどんなプレスもいなせる実力があるが、押し込まれてメンタルの弱さを見せた。練習で準備していてもできず、ビビって何もできなかったのが敗因」。指揮官は唇をかんだ。
延長後半3分にはDF甲斐が献上したPKで力尽きたが、未体験レベルでの戦いは、収穫も大きい。“らしさ”を貫いての敗戦に、リヨンのレール監督に「私が指揮を執って3年間、こういう素晴らしいチームと対戦したのは初めて。今までの相手と比べてもピカイチだ」と言わしめた激戦。星川監督も「なでしこジャパンがロンドンで何もできなかった相手であるフランス代表が多くいるチームに、自分たちのスタイルを出せたと思う。チームにとっても自分にとっても勉強になった」と振り返った。
「クラブチームで世界と戦うのは魅力。しんどかったけど、やっていて楽しかった。これからもチーム力を上げていければ。負けて悔しいが充実した大会だった」と澤。悔しさと手応えを胸に、なでしこリーグの最強王者は、更なる高みを目指す。