G大阪・今野が猛ゲキ!己と仲間信じろ
「J1最終節、磐田‐G大阪」(1日、ヤマハ)
J1は1日に最終節を行い、C大阪、神戸、G大阪、新潟がJ1残留を懸ける。4クラブのうち16、17位となった2クラブのJ2降格が決まる大一番。関西3クラブのうち、アウェーで磐田と対戦する16位のG大阪は大阪府吹田市内で調整。クラブ史上初降格の危機回避へ、日本代表DF今野泰幸(29)が決意をみなぎらせた。15位の神戸は神戸市内で練習し、ホームでの広島戦へ元日本代表FW大久保嘉人(30)が闘志をかきたてた。14位のC大阪は、ホームでの川崎戦へ大阪市内で最終調整した。
決戦の地へ向かう午後の新大阪駅。新幹線を待つG大阪・松波監督の視線は不動のセンターバックに注がれていた。MF遠藤とリラックスした表情でホームに立つ今野を前に、指揮官は揺るぎない信頼を口にした。
「コンちゃんは大丈夫!」。午前に行われた非公開の練習前。選手、スタッフ全員が囲んだ円陣の中心に今野がいた。
「自分たちを信じて。仲間を信じて。やれることをやろう!!最高の準備をして戦おう!!」
決戦前日の決意表明。グラウンドを支配する独特の緊張感で舌がもつれた。「今野さん、噛(か)み噛みでしたよ」。そう証言する選手もいた。だが、声かけ役に指名した松波監督は「自信あふれる言葉だった。共感した」と、心の中で拍手を送っていた。
前節、痛恨のドローに終わったFC東京戦で今野は両脚がつり「こんな大事な試合で低調なパフォーマンスの自分に腹が立つ」と、目を真っ赤に腫らした。クラブ史上初のJ2降格が現実になるかもしれない。国際舞台で幾多の修羅場をくぐり抜けてきた日本最高のDFでさえ、恐怖感で体が思うように動かなくなる。“生死”を分かつ決戦の重圧は想像を絶する。
「今回の移籍は大勝負だと思っている。ガンバのために、自分のために死ぬ気で頑張りたい」。1月の新体制発表で今野は悲壮感を漂わせた。札幌とFC東京時代にJ2降格を2度、経験した。3度も悪夢を請け負うわけにはいかない。
05年、優勝を争うC大阪が最終節のFC東京戦で今野に同点ゴールを許し、G大阪に歓喜がもたらされた。「あのとき、コンちゃんのおかげで優勝できた。ありがとう」。松波監督が新加入の今野に初めてかけた言葉だ。もう一度、感謝の言葉を贈りたい。残留は今野のおかげだった、と。