広島観音“心のサッカー”で日本一狙う
「高校サッカー選手権」(30日開幕)
3年ぶり4度目出場の広島観音は、“心のサッカー”で日本一を狙う。スポーツ界で重要と説かれる心技体の中で、心を最も重要視し練習に打ち込んできた。大好きなサッカーができることへの感謝の気持ちと、最後まであきらめない闘志を胸に大舞台で暴れまくる。初戦は来年1月2日、浦和駒場スタジアムで2回戦・丸岡(福井)と戦う。
トップチームの練習は週2回、スタメンや戦術を選手が決めるなど、自主性を重んじるのが広島観音の特徴の1つだ。
チームが最も大切にしているのが“心のサッカー”だ。出木谷浩治監督は心技体という言葉を用い「技術と体力は心の下に書く。心が一番大事」と力を込めた。例えばリフティング。ギリギリ届きそうなボールに少しでも足を出すのか、あきらめるのか。心の持ち方ひとつで結果は変わる。主将のMF塚川孝輝(3年)は「心の土台がなければ強くなれない。感謝の気持ち、あきらめない気持ち、負けない気持ちなどを持っている」と胸を張った。
心を磨く一環としてボールを使わないグループワークなどを行ってきた。選手の心に最も響いたのが、昨年末に東日本大震災で被災した宮城県を訪問したことだ。出木谷監督の震災を忘れてほしくないという思いから実現。仮設住宅での清掃や地元の小、中学生とのサッカー交流、震災当時の状況に関する講話を聞くなどして3日間を過ごした。
出場校に配られるアンケートの『この1年で最も印象に残っていること』の欄に皆、この東北遠征を書いたという。塚川主将は部内での感想文に「普通に仲間とサッカーできることがどれだけ幸せなことか考えながら今後取り組んでいきたい」と書き、「東北の人に比べたら練習やケガは苦しくない。みんなも同じ気持ち。チームとして考え方が大きく変わった」と振り返った。
この経験が選手の心を強くするきっかけになった。広島県予選では準決勝の広島皆実戦など、多くの試合で劣勢に立たされたが、失点は6試合で2。チームのために献身的に最後まで走り、体をぶつけ泥くさく強豪を退けてきた。
年明け早々の1月2日、日本一を目指す戦いが始まる。初戦は丸岡(福井)だ。塚川主将は「1戦1戦、決勝戦のつもり。自分たちのサッカーをして全国制覇したい」と意気込みを示した。強いハートを最大の武器に、全国の強豪に挑む。