釜本氏再登場!ザック采配メッタ斬り

 ザックさん!若手を見いだすんはアンタの仕事でっせ!昨年のロンドン五輪でも舌鋒(ぜっぽう)鋭く男女日本代表を斬ったサッカー元日本代表伝説のストライカー釜本邦茂氏(68)がデイリースポーツに再登場し、12、13年のサッカー界について熱く語った。起用選手が固定化したザックジャパンの懸念材料は?14年W杯へ期待の新星は?果ては初代監督を務めたG大阪のJ2降格にまで話題は飛んで…。歯に衣(きぬ)着せぬ提言をお楽しみください。

 まず言いたいのは、ザッケローニ監督はもっと若い人をトライしないとあきませんということですね。慣れた人が交代して入っても、どれぐらい「やる」のか知れてますから。交代のパターンが遠藤(G大阪)、長谷部(ウォルフスブルク)の両ボランチを高橋(FC東京)、細貝(レバークーゼン)に代えたり、あとは終了間際に時間稼ぎの交代をしたり。そんなんでは代表チームの本当の力は出てこないですよ。

 監督は今の選手はよく知っていても、次の世代はよく分からない。使ってみないと分からない選手が若い世代にいっぱいいるわけです。どう使うかをトライしないといけないわけですよね。例えば、香川(マンチェスター・ユナイテッド)なんてどういう選手かもう分かる。本田(CSKAモスクワ)、長友(インテルミラノ)もそう。でも、まだまだ実力が分からない若い選手がどんどん海外に行っている。そういう人たちをね、そら使わなアカンですよ。

 宮市(ウィガン)を呼んできたって何をさせているのか。試合終了間際に入れているだけ。見ているだけ。宇佐美(ホッフェンハイム)を呼んでも練習だけ。30分でも40分でも使わないといけない。チームが負けたらどうなるんだというのがあるから使い切れないのがあるんでしょう。だからテストマッチがあるんですが、使わないですからね。

 W杯予選は通過する可能性が高くなりました。私は香川、本田を外し、乾(フランクフルト)、宇佐美を入れたり、宮市が万全なら90分やらせたって、十分に予選を勝ち抜く力はあると思いますよ。(ブラジルW杯がある)14年でどういうチームにするのか、今年からやっていかないといけません。W杯はどういうメンバーにするのか。現有のメンバーで誰がだめなのかを見極める必要があります。

 佐藤寿人も呼んだけど、まったく使っていない。失礼だよ。日本の看板選手を。広島の選手は佐藤がどういうプレーをするのか分かっているんだろうけど、ほかの選手はどうか。本田は分かっているのか?遠藤は?そこも見ないと。

 ただ、選手にはインターナショナル(国際的)な選手なのか、ドメスティック(国内向け)な選手なのかで違う、という判断もあると思います。日本では通用するけど、アジアでは通用しないとか。アジアでは通用するけど、世界ではだめだとか。選手の質だよね。では、佐藤はどこの選手にあたるのか。失礼だけれども、佐藤がヨーロッパで1級品の中に入ってやれるのかはやってみないと分かりません。

 こういう考え方は海外組、国内組というのとは違って、質の問題です。だから全部が全部、ヨーロッパに行っている選手がいいというわけじゃないんです。遠藤は今年で33歳になる。今野は30歳。入れ替えていかないといけないケースは出てきますよ。遠藤は06年のW杯からメンバーに入っているんだから。それから8年たつことになる。遠藤は「やれる」と思っているかもしれないが、バリバリの若いのが後釜の準備として出てこないといけません。

 例えば、五輪に出た選手が入ってこないといけない。MFでは扇原貴宏とか。DFでは鈴木大輔が顔を出してきて、ポジションを取るぐらいの選手にならないとだめなんじゃないですか?10年(南アW杯)のままで、いつまでもやっていたのでは。

 最終ラインでは2人の酒井、内田、長友がいる。吉田がいる。でも、今野の代わりは誰やとなる。伊野波、水本とかいますけど、そこがインターナショナルな選手か、ドメスティックな選手なのかということになる。まだ経験も積んでいない選手でも、可能性があるから素材を磨いていくわけです。探せばJリーグの中でもいるはずですよ。

 鈴木は非常にいい。ロンドン五輪でチームの守備を固めていました。体をつくって磨いていけば、いい選手になれると思いますよ。そういう選手が14年W杯の対象になるのか、18年になるのか。18年には鈴木は20代後半になるんですが、それまでに経験をさせないといけない。レギュラーになれないかもしれないけど、宮市とか14年のメンバーに入って「W杯ってこうなんだ」と体験できればいいと思います。

 国内のリーグが海外よりも注目されないというのは、同じタイプのチームが上の順位に来ているということも一因にあるかもしれません。広島に浦和、鳥栖もそうですが、骨身を削るのを惜しまず走るサッカーが結果を出しました。それがいけないというわけではなくて、そういうタイプばかりでは面白くなくなってしまうのはあると思うんです。いろんなタイプのチームがいないとね。

 国内といえばG大阪もJ2に落ちてしまいました。3年ぐらい前に当時の西野監督に「選手の入れ替えをもっともっとしていかないといけない」と言ったことがあるんです。西野が来てからずっとやっているのは遠藤、明神、加地、二川。あとは外国人がちょっと前で変わってやる。最終節・磐田戦の先発平均年齢が29・2歳というのが、それを物語っています。

 西野本人がいなくなったら今度は呂比須の監督就任ミス(編集注・呂比須氏がJリーグの監督を務めるのに必要なS級コーチの資格を持っておらずブラジルでの指導実績だけでは監督就任がJリーグに承認されなかった)。これはフロントのミスですよ。松波がポッと来たって、そりゃ無理。いかに下の世代でいい選手がいなかったかということです。

 日本のサッカー界全体には、もっと進歩的な意見を聞き、風通しがよくなることを望みますね。そして、今までの概念というか、スケールを打ち破る若手が出てきてほしいです。

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