なでしこ佐々木監督、「ノリオ」禁止令
サッカー日本女子代表・なでしこジャパンの佐々木則夫監督(54)が今年は鬼になる。6日、年間最優秀監督の最終候補に残っているFIFAバロンドール(国際サッカー連盟年間表彰)に出席するため、成田空港からスイスに出発した際に取材に応じた。これまでは公然と「ノリオ」と呼び捨てにされることもあったが、今後は「ノリオなんて言わせない」と禁じることを明言。練習量や求める技術、態度などすべてに置いて、なでしこたちを追い込み、実力を試す考えだ。
新年早々、ノリさんの…いや、佐々木監督の目がギラリと光った。「ノリオなんて言わせないよ。ボスって呼ばせます」。ボスは冗談半分としても、ノリオ禁止令については真剣そのもの。FW大野ら一部の選手は親しみを込めて、公然と名前を呼び捨てにすることもあったが、「そこを厳しく接したからって、距離が広がるとは思わない」と意に介さなかった。
今年のなでしこジャパンの位置づけは自身が監督に就任した「08年のスタートと一緒」。ゼロからチームをつくり上げる上で、選手になめられないように「最初が肝心」と手綱を締める。15年のカナダW杯まで時間的な余裕もある分、「2年は細かいことをやる。成長させないといけない」とピッチ内外で小言を言い続けるつもりでいる。
練習内容も厳しくなりそうだ。「厳しい状況で持っているものも出せるのかを確認しないといけない」とし、2月に予定している代表合宿では1日4回練習する「4部練」の導入も視野に入れている。3月のアルガルベ杯(ポルトガル)でも優勝を狙いつつ「厳しい中でトライしてもらう」と、試合のために練習を軽くはしない方針だ。
最優秀監督の最終選考にはスウェーデン女子代表のスンダーゲ監督(前米国女子監督)、フランス女子代表のビニ監督という昨年と同じ顔ぶれが残っている。佐々木監督は「(2人に)おみやげを買いました。サッカーにちなんだ手ぬぐいです」と2年連続の選出とあって余裕たっぷり。6月の親善試合の相手になるよう、「話もしてみたい」とスウェーデン、フランスとの対戦実現へ直談判する。
日ごろの言動、練習、試合にいたるまで、例年以上に、なでしこたちは厳しく鍛え上げられる。2年連続の最優秀監督受賞へは「(自信は)50%くらい。スピーチは飛行機で練り上げます」と笑っていたが、V2達成なら、ますます威厳も備わる。“鬼の佐々木”に今年は注目だ。