J2神戸小川エースの自覚「目標20点」
J2に降格した神戸が10日、神戸市西区のいぶきの森球技場で始動した。昨年に比べ13日早いスタート。大勢のサポーターが見守る中、ブラジル人をのぞく23選手がフィジカル中心のメニューをこなした。練習前のミーティングも含めると約3時間にわたる中身の濃いものとなった。前日にFW大久保嘉人(30)ら主力3人の完全移籍が発表され、エースとしての期待がかかるMF小川慶治朗(20)は、今季の目標として20ゴールを掲げた。
詰め掛けた200人近いサポーターに向かい、選手、コーチが横一列に並ぶ。一歩前に歩み出た安達監督が力強く誓った。「1年でJ1に上がるために大きな声援と、時にはプレッシャーをお願いします」。サポーターから“ヴィッセルコール”が沸き上がる。神戸が2013年のスタートを切った。
前日にFW大久保ら主力3選手の移籍が決まった。大幅な戦力ダウンが懸念されるが、それでも指揮官は「(戦力に)満足している。これで結果を出せなければ僕の責任」と言い切った。
延べ6年にわたって君臨してきたエースが去った後、チームの顔となるのがMF小川だ。昨季は自己最多となる9得点を挙げチーム得点王となった。この日は筋肉の痛みで大事を取り、ピッチに姿を見せなかったが、練習後には「J1昇格に向けレベルアップしたい。J1で優勝争いができるチームにならないといけない」と話した。個人としての目標を問われると「20点を目指したい」。プロ4年目の20歳は、少しはにかみながらも堂々と宣言した。
20得点は甲府のJ1昇格に貢献した、昨季のJ2得点王ダビ(鹿島)の32得点に続く得点ランク2位に相当する。J2は42試合行われるため、2試合で1得点のハイペースとなる。高いハードルを課し、それに向けて自らを高める。エースの自覚は十分だ。
昨年より13日早い始動を見守った大勢のサポーターに「こんな光景は見たことない」と、指揮官はただただ感謝した。選手、サポーター、スタッフが一つになった船出の日。1年でのJ1昇格に向かって、ヴィッセルの航海日誌に新たな1ページが書き記された。