欧州八百長問題の背景にアジア犯罪組織
欧州警察機関(ユーロポール)が4日に公表した八百長問題が欧州チャンピオンズリーグ(CL)などトップレベルの試合にまで波及し、サッカー界を揺るがせている。捜査当局はシンガポールの犯罪組織の関与を指摘し、欧州とアジアをつなぐ違法なサッカー賭博組織のネットワークが浮かび上がった。
英スカイスポーツは5日、このシンガポールの組織の黒幕としてイタリアの捜査当局が指名手配している「ダン・タン」というアジア系男性の顔写真を報じた。ユーロポールが八百長の疑いがある試合として発表したのは、2008年から11年までに行われた680試合。そのうち380が欧州、残りの300がアジア、アフリカ、中南米などでの試合だった。事件は、欧州にとどまらず世界的に拡大する様相となっている。
AP通信によると、かつてベルギーでの指導者時代、八百長に関与したとして処分を受けたポール・プット氏は「八百長は常に起きている。事態はより深刻になっている」と証言。家族を含め犯罪組織から脅迫を受け、試合の操作に加担せざるを得なかった事情を明かした。選手、審判員らへの買収などの実態も一部明らかになった。
スポーツ倫理などを研究するデンマークの団体によると、八百長は選手の給料が安く、注目度が低い国のリーグや下部リーグで起こりやすい傾向がある。低迷しているチームのDFやGKはオウンゴールやPKに関わることが多いため、買収や脅迫の対象として狙われやすいという。11年に韓国で起きた八百長スキャンダルも同様の図式だった。